「フォロワー数がすべて」に陥った30代の末路 堀江貴文氏から見えてくる「人気の本質」
ちなみにマーク・グラノヴェッターが「弱いつながりの強さ」というソーシャルネットワーク理論の中でも著名な論文を書いたのは1973年だ。Twitterが生まれるはるか前からあった考え方である。
ゴミ情報をつぶやくな
このように堀江さんの本が売れる理由を解き明かしていくと、なぜシンイチが失敗したのかが見えてくる。まず「弱いつながり」がフォローバックというやり方で築くようなものではないことは明らかだろう。Twitter、ニコニコ生放送、ウェブサイト、ブログ、メルマガ、あらゆるメディアを駆使して、堀江さんが情報やメッセージを発信するからこそ、それに興味を持ち共感した人がフォロワーになるのだ。
シンイチが「強いつながり」を生かさなかったのも問題だ。彼も「強いつながり」は持っていた。Twitterで炎上した時にも「口論はやめたほうがいい」と親身になってアドバイスしてくれる人もいた。しかし彼はまったく耳を貸さなかった。「これからは、弱いつながりが大事だ」と思い込んでいたのかもしれない。彼が昔から持っていた強いつながりをもっと生かせば、状況は変わったかもしれない。堀江さんは「強いつながり」と「弱いつながり」の2つを戦略的にうまく組み合わせることが大切だと教えてくれる。
そして、何よりもマズかったのは、シンイチが発信する情報やメッセージに価値がなかったことだろう。「こんなものを食べた」「こんな人と会った」という情報は、友達や家族など「強いつながり」に位置する少数の人であれば興味を持つ人はいるかもしれない。あるいは、シンイチが芸能人や有名人だったら興味を持つだろう。しかし、彼のつぶやきは大多数の人にとって価値のないゴミ情報なのだ。
では、SNSが当たり前の時代に、どうすれば「弱いつながり」を生かせるのか? 「価値ある情報やメッセージを発信せよ」といわれて、いきなりできる人はいない。堀江さんのように、まず自分自身が価値を持つことが大切だ。つまり「あなたという商品」にそもそも価値がなければ、ソーシャルメディアでいくらフォロワー数を増やしても意味がないのだ。
「あなたという商品」をどのようにつくればいいのか? 役立つのがマーケティング戦略の考え方だ。マーケティング戦略とは「商品の価値を高める方法」を体系化したものだ。つまりマーケティング戦略の考え方を使えば、「あなたという商品」の価値を高めることができる。あなたに商品力があれば、SNSに広がる「弱いつながり」を必ず活かせるはずだ。こうした考え方は著書『「あなた」という商品を高く売る方法』でも説明しているが、マーケティング戦略の専門家として、ぜひみなさんにもマーケティングの理論や戦略を学んでいただきたいと思う。
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