メルカリの全米制覇が「夢物語でもない」理由 初直撃!フェイスブック出身幹部が抱く野望

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それを聞いた瞬間、「これはいける!」とすごく興奮したのを覚えている。アメリカにはeBay(イーベイ)などの先行サービスはあったけど、一般の人が使いこなすにはハードルが高い。だから「普通の人が、普通のモバイル端末で、簡単に売買できるサービスを作る」というコンセプトを聞いた時点で、絶対うまくいくと思った。

シンにはソーシャルゲームを作ってきた経験もあるので、遊び心というか、入り口のハードルを下げたり、離脱率を減らしたりする仕組みづくりが非常に上手。それは今でもメルカリの競争力になっている。

海外で勝つため、自分の力が必要と感じた

――気持ちが傾いたきっかけは何だったのでしょうか?

ジョン・ラーゲリン/ストックホルム商科大学修士課程修了。在学中、東京大学大学院経済研究科でも論文研究を行う。米グーグルでAndroidグローバル・パートナーシップディレクターなどの重要なポジションを7年間務めた後、2014年に米フェイスブック社のバイスプレジデントに就任。グローバル・ビジネス・デベロップメントやモバイルパートナーシップをはじめ、数多くの分野で事業提携業務を統括。2017年6月、執行役員CBO(最高ビジネス責任者)としてメルカリに参画。同9月よりメルカリ米国子会社CEO(最高経営責任者)を兼任。現在41歳(9月19日時点)(撮影:今井 康一)

その後もシンに会うたび、会社設立やアプリローンチなどの経過を聞いていた。程なく日本でヒットした後も、シンはずっと「海外で勝たないと意味がない」と言っていたし、自分もそう感じていた。ただ、海外で成功する日本企業の例は、特にネット業界では最近ほとんどない。

一方、僕自身は日本に12年ぐらい住む中で、日本企業の強みと弱みを何となく見てきたので、メルカリに何かアドバイスできることがあるならしたいと思っていた。するとやはり、シンから「フルタイムで入ってもらえないか?」と声を掛けてもらって。当時はフェイスブックにいたので、やり遂げたかった仕事にメドがついたタイミングで、今年6月からメルカリの一員となった。

――実際に参画してみて、会社としてのメルカリにどんな印象を持ちましたか?

シンが本当に能力の高い人を呼び込んで、的確なところに配置し、的確な権限を与えている。ポリティクス(社内政治)がない会社だなと。ミッションがはっきりしていて、それぞれ持ち込んだ経験をそれぞれの役割で生かし、皆が全力で走っている感じ。

もうひとつ感じたのは、「本気でアメリカ(で事業を)やるぞ」という気概。今は共同創業メンバー(山田CEO、富島寛取締役、石塚亮取締役)が3人とも、ほとんどの時間をアメリカで過ごしている。今、日本でこれだけ勢いのある会社で、こんなことは普通ありえない。必死さが伝わってきた。

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