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ライフ #三浦展の研究ノート「街を読む、データを歩く」

アラサー女子が副業に「スナック」を選ぶ真意 「人と話せておカネにもなるって、最高です」

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  • 三浦 展 社会デザイン研究者
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だから、チェーンの居酒屋じゃダメだ。

「チェーンには何の魅力も刺激も感じない。チェーンはルールとマニュアルが多い。スナックはルールがない。だからお客さんが楽しめる」

確かに今、チェーンの居酒屋は苦戦中だ。若い人口が減ったこともあるし、中食市場が成長していることもあるが、学生時代からチェーンの居酒屋で飲んできた現在のアラサー以上の年齢層が、明らかにチェーン店に飽きていることも大きな理由ではないか。

若いときは大勢で集まって盛り上がったが、社会人も5年目くらいになれば、大勢で集まることは減るし、わいわい盛り上がるだけでなく、1人でしっとり飲んだり、2、3人で、仕事の話、社会の話、家族の話などをしながら飲みたくなるだろう。そうなったとき、チェーン店にはない落ち着きとか濃密さとかが欲しくなる。

でも人と話をしたいのであれば、遅くまでやっているカフェもある。それではだめなのか。

「やっぱりお酒が入ったほうが、知らない人同士も会話が弾みますよね。夜カフェは、私も行くけど、基本静かだし、あまりお客さん同士が会話をすることがない。帰宅前に一休みしたいけど、話したいわけじゃないという気分のときは、夜カフェに行けばいいけど、話したいときはお酒があったほうがいい」

働く女性にも「止まり木」が必要だ

知らない人と偶然知り合いになることがスナックの価値らしい。今の横丁ブームにも同じような背景がありそうだ。それに、昔は止まり木にやってくるのは基本男性だけだったが、今は、働く女性が増えたので、女性も夜中に止まり木に集まる。それだけいっそう多様な人々がスナックに集まり、意外な話で盛り上がるのだ。

お客さんの8割が常連だ(編集部撮影)

「この店は、知らない人同士がけっこう気軽に話せる店。私もそうなるように気を使っている。待ち合わせをしているわけじゃないけど、あの店に行けば、あの人がいるかなと少し期待して来てくれる店でありたい。仕事を忘れる場でもあるけど、仕事のヒントも得られるし、お客さん同士が仕事を紹介し合うってこともしばしばある」

お客さんは、8:2で常連さんが多いという。

「街に、常連の店が2、3軒あるということは、その街に住んでいる理由があるということだと思うんです。会社から帰ってきて、ただ寝て、また会社に行くだけの街ではつまらない。その人が街に住んでいる理由がない。私自身も店に立つことで、この街にいる理由がある。街の中で自分が承認される場所をみんな欲しているんじゃないかな。そういう意味で、私はママをしながら、コミュニティの勉強をしているのだと思っている。本業もそういうことを考えることが多い仕事なので」

コミュニティとサードプレース、意外に深いことを考えながらアラサーのママはスナックを仕切っている。

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【ママをやるのに不安はなかったのか?】

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