日本人の約4%が性的マイノリティ
日本人の約4%が性的マイノリティと言われているが、その存在を身近に感じることはそれほど多くはない。だが、約30人に1人と考えると決して少ない数ではない。周囲にいないと感じるのは、カミングアウトにメリットがなく、性的マイノリティであることを隠している人が多いからだという。
榊区長は、これらのイベントを通して、マイノリティの権利が無視されていることに対し「行政機関として見過ごすことはできない」と判断。LGBTを支援していくことを決断した。
今後、まず区全体、ひいては市全体に取り組みを広げていく予定だが、淀川区役所には約280人の職員がいる。市民、区民への啓発、呼びかけを始める前に、区役所内にいる職員から意識を持とうということで、今後2回に分けて職員の人権研修を行っていく。
また、年度途中ということもあり、予算建てができていないため、今年度は予算が使えない。だが、来年度にはLGBT関連の予算組みを申請し、相談窓口、ホットラインの設置も検討していくという。
米国でも問題になっているのは、幼少期にLGBTの問題で悩み、人とは違うのではないかとの思いから自殺に追い込まれる若年層が後を絶たないということだ。このため幼少期からの相談が不可欠なのだが、日本にはそれができる窓口がない。
前出の井戸氏も、今回のLGBT支援によって「特に『いじめ、自殺対策』などとしても成果が出るのではないか」と、期待を寄せる。
もっとも、当事者ではない区役所員が相談に乗れるわけでもないため、相談そのものはLGBT当事者もしくは専門家に委託し、そのサポートをするという格好になる。
「気づきの連続」と語るのは、淀川区役所でLGBT支援の準備に取り組む白方昌秀・政策企画課課長代理だ。市の人権行政基本方針に性的マイノリティの人権を守るという人権施策があるが、当事者の方々と話してみなければ、何に対して嫌な思いをしているのか、何が人権を侵害しているのか、わからないことだらけだと言うのだ。
たとえば、性的マイノリティのカップルに「どちらが夫で、どちらが妻なのですか」と質問すること自体、非常な苦痛をもたらすという。夫や妻というのは男性、女性という性差を表現する言葉であり、性的マイノリティはその概念を超えたもの。その落差が彼ら、彼女らを苦しめるというのだ。こうしたことは、実際に当事者と話し合わなければ、なかなか見えてこない。
支援宣言を出したとしても、これは最初の一歩にすぎない。
「微々たる一歩かもしれないが、着実に進めていきたい」。白方課長代理は今後も発想を柔軟に変え、LGBT支援に対応していきたいと、静かだが断固とした口調で語った。
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