ヴィトンがスマートウォッチに参入した意味 若者世代を取り込むにはデジタル化が必須
「世界で最も売れている時計になった」。米アップルのティム・クックCEOは9月12日、「アップルウォッチ」の第3世代モデル発表の場でそう胸を張った。
腕時計型スマートフォンともいえるスマートウォッチの市場は、2015年のアップルウォッチの登場によって大きく広がった。スタートアップから老舗の時計メーカーまで、多くの企業が参入してきた。
そして今、この市場に狙いを定めているのが、ラグジュアリーブランドである。仏LVMH傘下のルイ・ヴィトンは今年7月、ブランド初のスマートウォッチ「タンブール ホライゾン」を日本で発売した。同社は2002年のタンブールシリーズ発売を皮切りに、時計事業を展開している。
ヴィトン製ウォッチは30万円
全面タッチパネルの画面を持ち、ベルト部分は「モノグラム」や「ダミエ」といったルイ・ヴィトンを代表するデザインのものに付け替えられる。価格は29万9160円~36万3960円。50万~70万円の価格帯がよく売れるというタンブールの時計と比較すると手は届きやすい。だが冒頭のアップルウォッチ3が3万6800円からであることを考えれば、やはり高額だ。
今回のタンブール ホライゾンは、多くのスマートウォッチにも搭載されている米グーグルのOS「アンドロイド」のスマートウォッチ版を用いている。ではラグジュアリーブランドとしての付加価値をどう打ち出すのか。
ルイ・ヴィトン側はベルトや時計画面のデザイン性に加えて、「旅」というテーマを持った製品であることを強調する。旅行トランクの製造から始まったブランドならではの歴史が反映されているという。
最大の特徴が、タンブール以外のスマートウォッチでは使えない「LV PASS」という独自のアプリだ。このアプリではブランド独自の時計画面を使用できるうえ、飛行機のフライト情報やルイ・ヴィトンが発行するガイドブックの情報を表示できるようになる。2018年度からは、同社製に限りトランクの場所を追跡できる機能も搭載される。海外の空港でロストバゲージになっても安心というわけだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら