ヴィトンがスマートウォッチに参入した意味 若者世代を取り込むにはデジタル化が必須
なぜルイ・ヴィトンはスマートウォッチ事業に参入したのか。ブランディングに詳しいインターブランドジャパンの並木将仁CEOは「(ラグジュアリーブランドの中でも大規模なルイ・ヴィトンが)デジタル化の影響が強い時計分野で規模を追求しようとすれば、デジタル技術を取り込まなければならない。顧客層が高齢化する中で若返りを狙っている」と分析する。
タンブール ホライゾンは日本で発売されてからまだ2カ月しか経っていないが、年間目標を早期に達成できそうな勢いだという。
ルイ・ヴィトンと同じLVMH傘下、創業から150年以上の歴史を持つスイスの高級時計メーカー、タグ・ホイヤーも、17~180万円の価格帯でスマートウォッチを展開中だ。同社は2015年11月に初めてスマートウォッチを発売し、2017年3月に第2世代モデルを投入した。
タグ・ホイヤーが狙うのは「ミレニアル」
スイス製高級時計の主な顧客層は40~60代。だがタグ・ホイヤーでは、1980年~2000年頃までに生まれた世代をターゲットとする、ミレニアル戦略を進めている。タグ・ホイヤーの堀弘人マーケティングディレクターは、「スマートウォッチを購入する年齢層は30代半ばまで下がっている。加えて、ITやガジェットに興味を持つ人など、従来接点のなかった客層にも訴求できている」と話す。
これまでスイスの高級時計は、歴史の中で培ってきたブランド力とデザイン性を武器に、数十万~数百万円の機械式時計を世界中で売ってきた。だがルイ・ヴィトンと同じく、デジタルデバイスであるスマートウォッチではブランドごとの差別化が難しい。
そこでタグ・ホイヤーはOS以外の開発、設計、組み立ての大半をスイスで行っている。高級機械式時計と同じ工程を経ており、「スイスメイド」と名乗るための基準を満たしている。さらに、歴史ある主要モデルを踏襲したデザインで違いを出したい考えだ。
タグ・ホイヤーのスマートウォッチも販売状況は悪くないという。2015年版の第1世代では、販路を直営店や一部百貨店など限られた流通先に絞っていたが、2017年の第2世代では大きく広げ、タグ・ホイヤーを扱う全店でのスマートウォッチの取り扱いを開始した。
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