不安に強い人は「考えない」を習慣にしている 1日16時間、9年歩いた僧侶が悟ったこと

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【エクササイズ2】心配事や不安があっても、あえて考えない

不安や心配、不平不満といった心の動きは、自分の外側からもたらされることに対する反応です。 

外的環境は、いつも自分が期待するとおりのお膳立てが整えられているわけではありません。そんな人生の「どうにもならなさ」を、どうにかしようと思わないこと。自分の思いどおりにならないことに対して、どうにかしたいと思う心のとらわれを捨てることです。

そのためには、目の前の出来事に一喜一憂しないことが肝心です。困った事態も、苦しい状況も、「しょうがないな」と、あるがままに受け止めましょう。そして、クヨクヨと無用に悩む時間を減らしましょう。ましてや、怒りにまかせて誰かを責めたり、うまくいっている他人を妬んだりすることは、自ら不幸のスパイラルに飛び込むようなものです。

目の前の不平不満にとらわれるのではなく、明るい要素や感謝すべきことに目を向ける努力をすることが、人生の幸せへの第一歩です。前回記事で紹介したお釈迦様の言葉どおり、人間は、自分の心の向いた方向に人生のエネルギー、すなわち運気が運ばれます。その結果を私たちは「運がよい」とか、「運が悪い」とか呼んでいるだけなのです。

言葉のもつエネルギーは強大だ

【エクササイズ3】ネガティブな言葉を避け、ポジティブな言葉だけで過ごす

言葉のもつエネルギーは、実に強大です。前向きな言葉は、よい運につながります。ポジティブで明るい言葉を使うと、ポジティブで明るい現実を作り出せますし、逆に、逆ネガティブで゙暗い言葉は、ネガティブで暗い現実を作り出すのです。

ネガティブな言葉とは、「嫌だ」「嫌い」「できない」といった否定的な言葉や、「でも」「だって」「どうせ」といった言い訳の言葉、それに「うざい」「むかつく」などの攻撃的な言葉です。また、「運がない」「いいことがない」「おカネがない」「つまらない」といった、自分の現状に対する不平不満も、ネガティブな言葉の仲間に入ります。

「不平不満や愚痴を吐き出すことで、ストレス解消になるんだ」と言う人もいるかもしれませんが、本当の意味で心が晴れることはありません。ネガティブな言葉は、まるで人生をマイナスの方向にひっぱる呪文のように心のなかに堆積していき、あなたを幸せから一歩遠ざけてしまいます。

では、ポジティブな言葉とはどんなものでしょうか? 前回記事でもご紹介した歩行禅のキーワードでもある「ありがとう」という感謝の言葉は、その代表格です。

『歩くだけで不調が消える 歩行禅のすすめ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

その他、相手に対する敬意と肯定を表す「はい」という返事、また「いいね」「おいしいね」「すてきだね」「楽しい」「幸せ」といった幸福感を表現する言葉や、「お疲れさま」「調子はどう?」「無理しないで」といった慈愛の言葉も、ポジティブな力に満ちています。

ここに挙げた3つのエクササイズは、お釈迦様の教えや、私自身が修行で得た悟りがベースになっています。歩行禅と同様に、自分の心をコントロールするための“心の鍛え方”でもあります。

まずは、1日のうち5分だけでも“小さな修行”を実践してみてください。それを日々継続していくことで、苦難を軽やかに乗り越え、幸せを引き寄せて不幸を遠ざける生き方が自然と身に付いていくはずです。

塩沼 亮潤 大阿闍梨、慈眼寺住職

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しおぬま りょうじゅん / Ryojun Shionuma

1968年仙台市生まれ。東北高校卒業後、吉野山金峯山寺で出家得度。91年大峯百日回峰行満行。99年吉野・金峯山寺1300年の歴史で2人目となる大峯千日回峰行満行。2000年四無行満行。06年八千枚大護摩供満行。現在、仙台市秋保・慈眼寺住職。大峯千日回峰行大行満大阿闍梨。

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