安倍首相、改憲に必要な「解散・3選」は至難に 「双六」で道筋をたどってみると…
猛暑と長雨に悩まされた夏が終わり、政局秋の陣がスタートする。夏休みを短縮し大好きなゴルフも封印した安倍晋三首相が見つめるのは、1年後の自民党総裁選とそれに絡む衆院解散・総選挙という2大政治イベントだ。
通常国会閉幕後の支持率急落で1強体制が揺らいだ首相は、8月3日の「出直し人事」でなんとか一息ついた。だが、悲願の憲法改正実現を視野に入れた「史上最長政権」につながる「解散・3選双六(すごろく)」で、"上がり"にたどり着くのは至難のようにみえる。自民党内では「反安倍議連」も発足し、石破茂元地方創生担当相や岸田文雄政調会長ら「ポスト安倍」候補も虎視眈々と1年後を見据えている。これからの政権運営で首相が繰り出す"次の一手"の成否で、1年後の勝負の帰趨(きすう)が決まる。
首相が衆院解散という「伝家の宝刀」を抜くチャンスは限られている。2018年12月中旬の衆院議員任期満了まであと1年3カ月余り。その間の2018年9月には自民党総裁選が実施される。加えて、天皇陛下の「生前退位」も2018年末説が有力だ。このため首相は、2018年末までの重要な政治・外交日程も念頭に置きつつ解散のタイミングを探ることになる。だが、政府与党幹部の間では「年内」か「2018年夏前」か「2018年秋」の"3択"が常識化している。
「補選全勝」なら年内解散も
まずは「年内解散」だが、盛夏の永田町を駆け巡った秋の臨時国会冒頭の「秋口解散」は見送られる可能性が強まった。お盆明けの8月23日に自民、公明両党幹事長・国対委員長が会談し、9月25日以降の臨時国会召集と、それに合わせた景気刺激のための大型補正予算案の編成を目指すことで大筋合意したからだ。
首相の国連総会(ニューヨーク)出席などの外交日程を考慮すると臨時国会召集日は9月29日とみられており、補正予算案を提出すれば10月前半に衆参両院予算委での質疑が必要となる。「秋口」説が浮上したのは、10月22日投開票の衆院トリプル補選を吸収する一方、民進党の党内混乱や小池百合子都知事を旗印とするいわゆる「小池新党」の機先を制するという政略が背景にあるが、首相自身は慎重だったとされる。
「秋口解散」が消えれば、「10・22トリプル補選」が当面の政局の最大の焦点となる。補選は衆院の青森4区、新潟5区、愛媛3区で実施されるが、いずれも自民党現職の死去に伴うもので、自民党にとっては「弔い選挙で全勝が当たり前」(自民首脳)という位置づけだ。ただ、3選挙区の過去5回の勝敗をみると、青森4区は自民全勝だが新潟5区は自民2勝、愛媛3区は自民4勝と必ずしも盤石ではない。しかも死去した現職の後継候補擁立をめぐっての地元県連と党本部の足並みの乱れが目立ち、野党の対応次第では各区での自民苦戦の展開も想定される。
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