蓮舫氏・稲田氏「ダブル辞任」でも違いはある 自ら「ガラスの天井」に頭ぶつけた2人の今後
安倍晋三首相による8月3日の「出直し人事」を目前にした27日、民進党蓮舫代表と稲田朋美防衛相の"ダブル辞任"が永田町を喧騒の渦に巻き込んだ。民進党の蓮舫代表は27日午後の特別会見で辞任を表明。これと同時進行で稲田防衛相の「辞任説」が急浮上し、稲田氏も28日に首相に辞表を提出した。この2日間、メディアは「盆と正月が一緒に来た」(大手紙政治部)ように汗まみれで永田町や霞が関を駆け回った。
蓮舫氏は「東京都議選敗北の責任問題をめぐる党内混乱」、稲田氏は自衛隊南スーダンPKO部隊の日報隠蔽問題での「省内混乱」が辞任の理由だが、「組織の統制ができなかった」点はまったく同じ。蓮舫、稲田両氏とも「女性政治家の星」だったが、ともにリーダーとしての「資質や見識」が問われての退場劇。どちらも"嫉妬の海"とされる永田町の男社会に存在し続ける「ガラスの天井」に頭をぶつけて奈落の底に落ちた格好でもある。
蓮舫代表は27日午後、国会内で開いた特別会見の冒頭に「代表を引く決断をした」と辞任を表明した。25日の続投宣言からわずか2日での代表辞任については、「いったん退いて、より強い民進党を新たな執行部に率いてもらうのが最善の策だ」と語った。白いスーツに青色のインナー、目を大きく見開いての明快な口調もこれまでどおりだったが、「昨日一日、熟考して決めた」という退任の弁には悔しさがにじみ、「首相を目指すことをやめるのか?」との意地悪な問いには「それに堂々と答える強さをまだ持ち合わせていない」と交わすのがやっとだった。
「小池氏は私の足りないものをたくさん持っている」
特別会見で、同じテレビキャスター出身で、いまや"首都の女帝"として「国政復帰で初の女性首相に」ともてはやされる小池百合子東京都知事との「違い」を問われた蓮舫氏は、「難しい質問ね」と苦笑しながら「私に足りないものを(小池氏は)たくさん持っている」と答えた。
昨夏の都知事選で「最有力候補」とされながら参院選での3選を選んだ蓮舫氏はその際、「私のガラスの天井は国政にある」と見得を切った。8年前の民主党政権発足とともに「仕分けの女王」として華々しくデビューし、端正な容姿とメリハリのある言動を武器に野党第1党党首となり「速足で頂(いただき)を目指した」蓮舫氏だが、今回の挫折の背景には「背伸びして頭をぶつけたガラスの天井の分厚さ」(首相経験者)があったことは間違いない。
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