「あまちゃん」ロケ地観光のいまだ根強い人気 放送終了4年過ぎても久慈の町おこしは熱い

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ロケ情報誌『ロケーションジャパン』編集長の山田実希さんが挙げるのは、昨年8月に久慈が豪雨洪水被害に遭ったときの話。「『喫茶リアス』のモデルとなった『喫茶モカ』がひどい浸水被害で、店主さんは閉店を覚悟したのですが、『あまちゃん』ファンからの手紙や清掃ボランティアに助けられて復活しました」。カウンターの高さまで水に浸かり、冷蔵庫も浮いていたという厳しい状況から、わずか18日後に営業再開したそうです。

町と地元住民のポテンシャルを信じる

パネルに貼られたシールの分布を見れば、いかに全国からファンが訪れているかがわかる(写真:久慈市提供)

さらに山田さんは、「地元の洋菓子店『ミリオンベル』さんが“まめぶっせ”という商品を開発したのですが、めちゃくちゃおいしくて新たな定番みやげになりました」。木庭さんは、「(“琥珀の勉さん”でおなじみの)久慈琥珀もすごく人気があって、2年前に銀座店も拡張リニューアルするなど、よく売れているそうです」。ロケ地観光の波及効果は多岐にわたり、地域全体が潤っている様子がうかがえます。

一方、映像制作者に向けたロケ地検索サイト『ロケなび!』編集長の斎藤靖子さんが指摘するのは、ロケ地観光における最重要ポイント。「久慈の人々がすばらしいのは、ロケ地観光で訪れた人が、ただ『あまちゃん』のファンで終わるのではなく、久慈のファンになってもらうための努力をしていることです」。

実際、ロケ地観光で久慈を訪れた人は、「あまちゃん」の世界観に浸るのはもちろん、まめぶやウニなどのご当地グルメを楽しむほか、トレッキングやツリーイング、カヌー&カヤック、シャワークライミングなどの自然あふれる岩手らしい観光も楽しんでいるようです。

山田さんは、「主役は地元で頑張っている住人のみなさんで、私たちはあくまで黒子の宣伝部隊にすぎません」と言っていました。3年が過ぎた今も久慈の観光客が減らないのは、『あまちゃん』の魅力に加えて、地元住民たちの奮闘があったからにほかなりません。彼らの運命を変えたきっかけは何げないネット検索でしたが、「町と彼ら自身が持つ潜在的なポテンシャルを信じて行動し続けたことで成功をつかんだ」ともいえるのではないでしょうか。

5者がメリットを得る夢のプロジェクト

久慈を成功に導いた地域活性プランニングは、まさに「じぇじぇじぇ」な会社でした。日本全国の市町村にロケ誘致の手ほどきをするとともに、地元の名物料理を売り出し(名物料理がなければ作り)、ネットや雑誌で情報発信をしながらファン獲得につなげるまでの各ステップを戦略的にプロデュースしているのです。

特筆すべきは、「市町村」「地元企業と住民」「撮影スタッフ」「作品のファンや一般観光客」の4者に実利と笑顔をもたらす、夢のようなプロジェクトを手掛けていること。いわば4者が「ウィン・ウィン・ウィン・ウィン」の関係性であり、さらにロケ地観光が成功したら、それをプロデュースした地域活性プランニングもウィンが得られるのですから、“5ウィン”をもたらすプロジェクトともいえます。

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