ただ、育児休業給付を受けるにあたっては、以下の要件を満たす必要があることに注意が必要です。まず、雇用保険の被保険者が育児休業を取得する場合、休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12カ月以上あれば、受給資格の確認を受けることができます。
さらに、
(1) 育児休業期間中の1カ月ごとに、休業開始前の1カ月当たりの給与の8割以上が支払われていないこと。
(2) 働いている日数が各支給単位期間ごとに10日以下であること。ただし、10日を超える場合にあっては、労働時間が80時間以下であること(休業終了日が含まれる支給単位期間は、働いている日数が10日(10日超は80労働時間)以下であるとともに、休業日が1日以上あること)。
以上の要件を満たす場合に、支給されます。
ちなみに、この育児休業給付金、男性が短期で育児休業を取るような場合でも、給与が出なければ申請することができることをご存じですか。
仮に土日を含めて5日間育休を取り、その間に8割以上の給与が出なければ、5日分について給付の対象となります。中小企業の場合、子の出生後8週間以内に連続5日以上育休を取り、一定要件に該当すれば、企業に57万円が支給される「両立支援助成金(出生児両立支援コース)」もあります(大企業の場合は連続14日以上の育休で28.5万円)。
なお、育児休業給付は、育児休業終了後の職場復帰を前提とした給付金です。このため、当初からすでに退職を予定している場合は、育児休業給付の支給対象とはなりませんのでご注意ください。
社会保険料と税金は引かれるの?
それでは、いつも給与から天引きされている社会保険料と税金はどうなるのでしょうか?
上述の「出産育児一時金」「出産手当金」、そして「育児休業給付」は非課税です。そのため、所得税や住民税はかかりません。また、産休及び育休期間中の社会保険料については、申し出により労使双方の保険料が免除されます。ただし、自動的に免除されるわけではありませんので、それぞれの休業期間中に会社が免除の手続きを健康保険組合および年金事務所へ行う必要があります。本人が会社に申し出をして、忘れずに手続きをしてもらうようにしましょう。
ここでうれしいのは、将来もらえる年金額を計算するときに、免除された期間においても保険料を支払ったものとして計算されることです。ちなみに、標準報酬月額が30万円の場合、健康保険料と厚生年金保険料は1カ月当たり4万2138円かかります(協会けんぽ東京支部、40歳未満の場合)。
今でこそ当たり前に免除されている社会保険料ですが、かつてはそれがなく、無給の状態で保険料がかかるのは大きな負担でした。そう考えると、現在は社員の出産・育児に対して手厚い制度が整備されてきたといえるでしょう。
仕事と育児の両立は容易ではありませんが、こうした金銭的な支援があることを知らずに退職をしてしまうのは、もったいないといえます。さらに、日本において、退職後に子育てをしながら再就職をするのは、まだまだ厳しいという現状があります。ぜひ制度を賢く活用して、働き続けるという選択をしていただけたらと思います。
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