日本のブラック部活動は「ゆとり化」すべきだ 内田良氏×島沢優子氏が語る(後編)

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内田:なるほど、そうだ、そうだ。

島沢:それらの中でも、球技系の高校スポーツはある意味“商業化”されています。甲子園や花園、代々木と、いずれも「聖地」と呼ばれる場所がある。テレビ中継されて認知されるため、私立高校は部の強化に力を入れます。そのおかげで競技が発展した面もあれば、「勝利至上主義」が横行しました。功罪ありますね。商業化されれば利益が生まれるわけなので、大人がそこに来ますよね。

内田:商業化された球技って、意外と体罰の話もよく聞きますね。

島沢:部活動で県で一番になる、もしくは日本一になれば学校の知名度が上がる。ユニホームやボールなど道具を提供するメーカーからの期待もある。所属する3年間での要求度が高くなるからかもしれません。

内田:面白い……。面白いって言っちゃいけませんね。なぜそう思うかというと、行政が部活にどうかかわるかという未来展望図は、僕の中でこうしてほしいなというものがありまして。

島沢:行政がかかわる未来展望図とは?

日数や大会も制限する「ゆとり部活」とは

名古屋大学准教授の内田良氏(撮影:尾形文繁)

内田:時間を制限し、日数や大会も制限する「ゆとり部活」というものができないかと思っています。たとえば週に2回だけ、土日もやらないなどです。

島沢:全体的にダウンサイジングすると、部活動の過熱を冷却できますね。

内田:今お話伺って興味深かったのが、民間クラブの可能性です。休日をきちんと設けて効率のよい正しいトレーニングを提供しながら、本来部活動が目指していた、自主性を育て、自分でトレーニングメニューを組めるような生徒に育てる可能性が民間にはあるんだと。新しい発見です。

島沢:すべてのクラブが同じレベルではないかもしれませんが、平準化されてきていると感じます。

内田:つまり顧問が7日間「やれ」って、「はい」って走る生徒じゃなくて、自分はこの目標まで行きたい。「でも、今は体調がこんなだから週3日にしたい」と言える生徒。

島沢:そこで「OK。じゃあ、そうしてみよう」と言える指導者。

内田:そうそう。そういうイメージ。実は民間にこそ、強い選手を育てる可能性もあるし、他方で自主的に判断して、まさにゆとり部活動のような、ゆとりトレーニングもできる生徒を育てられるかもしれません。民間と連携することを考えたいですね。

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