戦争秘話、日独往復に成功した潜水艦の奇跡 「伊8潜」がもたらした電子立国・日本の礎
往復5万4000キロ!生命の保証なし
1943(昭和18)年8月31日、ドイツ占領下のフランス北西部にあるブレスト軍港に、「ある一隻の潜水艦」が無数のドイツ軍艦艇に護衛されて入港しました。
その潜水艦は「日本の軍艦旗」を掲げており、1トン爆弾の攻撃にも耐えうる堅固な掩蔽壕(えんぺいごう)に停泊すると、桟橋からドイツ海軍儀仗隊による「君が代」の演奏が始まりました。
最後の寄港地ペナンを出てから65日ぶりの上陸。乗員にはドイツ人女性たちからカーネーションが一人ひとりにプレゼントされました。
艦の名は日本海軍所属の「伊号第八潜水艦(伊8潜)」。日本から3カ月をかけてはるばるこの地へやってきたこの艦と乗員たちには、戦争の行方にかかわる重要な使命が与えられていました。やがて彼らは母国日本に向け、再び長く危険な航海へと旅立つことになるのです。今回は「伊8潜」をテーマに、第2次世界大戦中に日本―ドイツ間5万4000キロを往復した日本海軍の潜水艦について解説します。



















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