潜水艦では、定員外の寝床は「魚雷の架台」?

知られざる潜水艦乗りの生活に迫る<後編>

知られざる潜水艦の秘密に迫ります(写真:「おやしお」型潜水艦の発射管室に設けられた予備ベッド。提供:海上自衛隊)

潜水艦では艦長、副長を除き、全乗組員を3つの「哨戒直」に配員しています。行動中の潜水艦では、つねに哨戒直の1つが当直に就いています。このことに関連した古い話を、ひとつご紹介します。

今の潜水艦は、乗組員の定員分だけベッドが装備されていますが、たとえば、小型と呼ばれた750トンの「はやしお」型潜水艦では、定員の3分の2しかベッドがありませんでした。これは「行動中はつねに乗組員の3分の1が起きていて当直勤務に就いているから(全員分は)必要ない」との考えから出ています。このため、当直の終わった乗組員は、空いたベッドを見つけてそこに潜り込むことになります。そこには前に寝ていた乗組員のぬくもりが残っているので、「ホット・ベッド」と呼ばれてきました。

その後、定員分のベッドが確保されるようになりましたが、潜水艦には実は、定員以外の者が乗り組んでいます。「実習員」です。潜水艦要員は幹部であれ、海曹士であれ、潜水艦教育訓練隊での最初の課程を修了すると、実習員として、幹部の場合は約11カ月、海曹士の場合は約4カ月の間、実習のため潜水艦に乗り組みます。潜水艦教育訓練隊で学んだことを実地で勉強するのです。

実習員のベッドは魚雷用の架台

この実習員は、潜水艦の定員外の員数なので固有ベッドがありません。そこで、発射管室の魚雷用の架台上に予備ベッドをしつらえて、そこに寝ることになります。

 「そうりゅう」型潜水艦の乗組員の居住区。「ベッドから飛び起きる」という芸当は不可能。ほぼ「転がり出る」というのが当たっている (写真提供:海上自衛隊)

ベッドの話が出たついでに、潜水艦乗組員が自分の身の回りのものをどのくらい持ち込めるかお教えしましょう。その答えは「ほとんど持ち込めない」です。左の写真は「そうりゅう」型潜水艦の「科員居住区」と呼ばれるところです。

「マットレスカバー」と呼ばれるチャックのついた緑色の袋の中に、毛布や枕が入っていて、使用しないときは写真のような状態にしておきます。取っ手がついたベッドの枠は持ち上げることができ、その下の名札入れがついている部分にあるわずかなスペースに、下着などを納めています。ここに加えて、通路奥などに小さなチェストが設けられており、小物などを入れておけます。後は、それぞれの潜水艦で工夫をして、衣類を掛ける場所を確保するようにしているようです。

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