戦争秘話、日独往復に成功した潜水艦の奇跡 「伊8潜」がもたらした電子立国・日本の礎

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Q14.「伊8潜」は日本から何を運んだのですか?

主に南方の資源と日本側の最新兵器です。

「技術大国ドイツ」を驚かせた

錫(すず)、生ゴム、雲母、タングステン、モリブデン(合金材料)、キニーネ(薬品の原料)など、ドイツでは入手困難な南方資源は大変珍重されました。

さらに、当時最新式で長射程、高速、高破壊力、無航跡の「95式53センチ酸素魚雷」や、潜水艦をエンジン停止(無音)の状態で一定の深度に静止させる「潜水艦自動懸吊(けんちょう)装置」の設計図などは、技術大国であるドイツをも驚かせました。

物資のほかにも、ドイツから兵器供与される「Uボート」を受領するための回航要員50余人を含む約160人が「伊8潜」に同乗しており、通常の1.5倍以上の人数で艦内は大混雑の状態でした。

Q15. 日本にはいつ帰還したのですか?

ブレスト出港は1943(昭和18)年10月5日です。入港時と違って、任務内容秘匿のために行事はいっさいなく、静かな船出でした。

復路では無線連絡を連合軍に傍受されて爆雷攻撃に遭い、艦内数カ所に被害を受けますが、短時間でこれを修復しました。

そして12月5日にシンガポール着、12月21日午後に呉に帰投しました。6月1日の出港以来204日ぶり、全航程5万4000キロは地球1周(4万キロ)を優に超える距離でした。

Q16.「伊8潜」はドイツから何を持ち帰ったのですか?

多くはドイツの先端技術に関するもので、大小50品目以上ありました。

主なものとして、テレフンケン社製「レーダー装置」(ウルツブルグD2型)、「電波探知機」、ダイムラー・ベンツ社製「魚雷艇用ディーゼルエンジン」、モーゼル社製「20ミリ機銃」、ラインメタル社製「13ミリ航空機用機銃」、「爆撃照準器」、「ジェットエンジン」とその設計図などがありました。このなかには、実際に日本国内で「航空機等の武器」として実用化に成功したものもありました。

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