見よ!「キャンプ飯」はここまで進化している その場でビールまで作ってしまう

オレゴン州ポートランドに暮らすローラ・オーム(45)と夫のフレッド・リフトンは、パン粉を混ぜて乾燥させた牛肉と、乾燥させたトマトソースをお湯でもどしてつくるアウトドア用ボロネーゼソースで有名だ。
お湯でもどしたボロネーゼは魅力的ではないかもしれないが、「悪くない」程度の家庭の食事はハイキングの後はとてもおいしいものだと、オームは言う。
ただ多くのキャンパーたちは、乾燥食品は選択肢にない。彼らの理想は、焚き火の上の鋳鉄鍋で調理した、煙にまみれた料理だ。
「それこそが、このビジュアルとデジタルの世界におけるキャンプ料理だ」と言うのは、8月にキャンプ料理の本を共著で刊行するアン・ブローンズ(33)だ。「大きなダッチオーブンと大きな鋳鉄のフライパン、大きな肉の塊といったものこそがアウトドア料理だとする風潮がある」。
昔ながらの料理も健在

一方で、アウトドアで楽しむコーヒーにも革命が起きている。ブローンズもキャンプには手びきのミルとコーヒー豆、チタン製のフレンチプレスを持参している。
REIアウトドア・スクールのシニアインストラクター、J.J.ジェムソン(56)が昨年、他のインストラクターと共に料理を含めたアウトドアの指導に当たったのは35万人におよぶ。
「薪をくべて火を起こし、小さな鍋でカウボーイコーヒーを飲んでいたのは昔の話で、今ははるかに手の込んだ料理のスタイルになっている」とジェムソンは言う。
それでも、昔ながらのキャンプ料理もスタンダードとして残っている。グレッグ・シュート(57)はメーン州ウィスカセットで100年続くアウトドア教育施設チュンキで、33年にわたり子どもたちにリフレクターオーブンを使ったケーキの作り方などを教えている。
シュートのコーヒーも昔ながらのもので、焚き火で沸かしたお湯に粉コーヒーをとく。「シンプルだが、アウトドアでいちばん人気の料理の1つはいまだに大きな鍋で作ったマカロニチーズだ」と彼は言う。
重要なのは、鍋の中身ではなく、それを作る工程だ。
「薪を集めることから問題を解決すること、団結すること、火を囲んで食べることまで、食事はすべて共有体験だ」と、シュートは言う。「そうした食事をすることでその場所とつながることができ、そこに意味がある。だからこそ自然の中で過ごすのだ」
(執筆:Kim Severson記者、翻訳:中丸碧)
(C)The New York Time News Services
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