2020年の夏季五輪は、東京で決まり? 吉崎 達彦が読む、ちょっと先のマーケット

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東京招致の正否は、日本経済にとって大きな分かれ道

ところが、麻生副総理の「ナチス発言」で調子が狂ってしまった。「東京降ろし」を狙っている国から見れば、これぞ絶好のネガティブキャンペーンのチャンスである。「右傾化している日本での五輪開催はいかがなものか」と言えてしまうわけだ。これで負けてしまったら、安倍政権に批判が集中するかもしれない。以前は安倍首相にとって「秘かな楽しみ」であったオリンピック東京招致は、今では乾坤一擲の勝負になっているのだ。

ゆえに9月8日以降の安倍内閣の求心力は、IOC総会の結果次第で天と地ほどに変わってくるはずである。

東京招致の成否は、日本経済にとっても大きな分かれ道となる。もちろん、東京が勝つ方が景気にプラスであることは間違いないし、ダメだった時の「東京2連敗」ショックは相当に深いものになるだろう。

とりあえず東京が選ばれたその瞬間に、「消費税増税先送り」の議論は吹き飛ぶはずだ。なにしろ東京五輪が決まったら、公共事業をたくさんやらなければならない。「お客様が来る前に、恥ずかしくないように」という日本人的な美学には、どこか抗しがたい魔力がある。前回の1964年東京五輪の際に慌てて作った都市インフラは、すでに半世紀を経て老朽化が進んでいる。地震への備えも必要だ。「この際、首都高を全部地下に埋めてしまえ」みたいなことを言い出す人もきっといるはずだ。

夢のある話としては、以前から何度も出ては消えている「お台場カジノ構想」がある。2020年に膨大な外国人観光客が東京を訪れるということになれば、この際、特区でも何でもいいからやってしまえ、という話になるのではないか。

ちなみに筆者の以前からの持論では、お台場と沖縄と福島の3か所限定でカジノ解禁、というのが良いと思う。ギャンブルを愛する者の一人として敢えて申し上げるが、ギャンブルは社会悪でもある。「地域振興」などの名目で、安易にカジノの数を増やさないようにしたいものである。

次ページさて、競馬。今回は、24日(土)のエルムSに注目!
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