「パワハラ証拠」録音できなかった時の戦い方 録画・録音のほかに「役立つ」証拠とは何か
パワハラにより精神的な被害を受けたことから、仕事をやめることになるかもしれない。パワハラをした上司や会社に対して、損害賠償を請求したい――。そんな悩みを抱えた人が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに質問を寄せました。ただ、その人は証拠として有効な「録音や録画」は持っていないため、「他に有用な証拠になるものはありますか?」と聞いています。
録音や録画が、パワハラの被害を立証する上で役立つものだという認識が広まっていますが、急な発言をされた場合には、録音録画が難しい状況も想定されます。録音、録画以外にどのような証拠を集めると良いのでしょうか。古屋文和弁護士に聞きました。
録音・録画なければ泣き寝入りするしかない?
「パワーハラスメント(以下「パワハラ」といいます)の立証のために、パワハラの直接の証拠となる録音・録画が有効であることは言うまでもありません。もっとも、録音・録画ができない場合でも、それ以外の証拠を複数集めることで、パワハラの事実を間接的に立証することが可能です」
具体的にはどのような証拠が有効なのだろうか。
「パワハラをした上司や会社がパワハラの事実を否定する可能性があるため、パワハラの被害者としては、具体的な被害日時、パワハラの態様などを客観的に証明する必要があります。そのために有効な方法について、具体的に説明します。
(1)会社内の相談窓口を利用する
会社内にハラスメント等の相談窓口がある場合には、パワハラを受けた後、できるだけ早期に相談を行うことで、相談実績を残すことができます。
(2)書類やメールを残す
業務に関係する指示等の形でパワハラが行われた場合は、その業務に関する書類やメール、LINEなどSNSでのやりとりを残しておくことで、パワハラの立証に役立つ場合があります。