「パワハラ証拠」録音できなかった時の戦い方 録画・録音のほかに「役立つ」証拠とは何か

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(3)医療機関で診断書やカルテに残す

パワハラを受けた結果、うつ病などの症状が発症することもあり得ます。その場合には、心療内科等の医療機関で診察を受け、その際に医師に対して詳細に事情を話しておく方法があります。後に、診断書やカルテ等がパワハラの立証に役立ちます。

(4)目撃者を集める

実際にはなかなか難しいことも多いですが、パワハラを目撃していた同僚等の第三者から、パワハラの事実があったことを証言してもらったり、陳述書にまとめてもらう方法も有効です。1人だけではなく、複数の目撃者の証言があると、立証に成功する可能性が高くなります。

(5)日記に残す

日記等にパワハラの事実を残しておくことも考えられます。訴訟になった場合、日記等だけでは直ちにパワハラの事実があったと立証するのは困難な場合が多いですが、上記(1)から(4)などの客観的な証拠と合わせて残しておくことで、立証に役立ちます」

なお、古屋弁護士は続けて、証拠を残すための行動をとる上で、重要なポイントがあるという。

「これはパワハラに限ったことではありませんが、法的手続に向けて有利な証拠を残す際のポイントは、証明したい事実(今回のケースではパワハラの事実)が発生したときに、できるだけ早く有効な証拠を残すための行動を起こすことです。

例えば、今回のパワハラのケースで、パワハラが発生した後、数か月たってから、会社のハラスメント相談窓口を利用したり、医療機関を受診した場合はどうでしょう。

せっかく証拠を残したにもかかわらず、期間が経過してしまった分、『なぜパワハラを受けてつらい思いをしたのに、数か月もハラスメント窓口に相談をしなかったんだ』とか、『うつ病の本当の原因はパワハラではなく、他にあるのではないか』などという反論の隙を与えてしまうことになります。

被害者側からすれば、証拠を残すための知識を有しているかいないかで、後の法的手続の結論を大きく左右することになるため、決して他人事とは考えずにこれらの知識を備えておく必要があります」

会社側はどう対応すべきか

「パワハラを含む多くのハラスメントの増加が叫ばれている状況からすれば、ハラスメントが起きた後にどのように対処するかといった事後的な対応だけでは不十分です。

今回お話ししたように、被害者が証拠化を行う場面も以前に増して増えています。会社としては、職場の人間関係の把握と調整に努め、ハラスメントが発生する可能性をいち早く察知し、事前に対処できる体制を整えることが重要です。具体的には、会社内にハラスメント相談の窓口を設置することなどが考えられます」

古屋 文和(ふるや・ふみかず)弁護士
平成25年、弁護士登録。山梨県弁護士会所属。主に会社側の労働分野及び企業法務分野の案件を多く取り扱っている。その他にも一般民事分野(土地建物、借金等)や家事分野(遺産分割、相続等)も取り扱っている。
事務所名:ひまわり法律事務所

 

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