限られた時間でいい素材を手にいれるため、言いかえれば知りたいことを「とりこぼさずに聞く」ために、普段私は、「徹子式」と「タモリ式」の2つのヒアリング方法を意識しています。
聞く方法は、「徹子式」か「タモリ式」
■網羅性のある「徹子式」
「徹子式」というのは、その名のとおり、黒柳徹子さんが「徹子の部屋」で行っているような聞き方です。
「子どもの頃はどんな子だったの?」
「デビューのきっかけは?」
「趣味はなに?」
「好きな食べ物は?」
と、次々と質問を重ねる黒柳さんのヒアリング法は、その人を形成するエピソードをなるべく多く引き出そうとする方法です。その結果、ときには「話がふくらまないうちに『はい、次の話題』と言われてしまう」などとぼやくゲストの声も聞きますが、この方法はヒアリングのひとつのあり方です。
私が勝手に「徹子式」と名付けているこの方法は別名「炭田堀りインタビュー法」などと呼ばれています。地表から浅い位置にある炭鉱を見つけるためには、浅い穴をたくさん掘るのが得策だからです。
このヒアリング方法は、ざっくりとした大枠の人となりや考え方を把握したいときなどに有効です。できるだけたくさんの「点」を集めることで、その人の「軌跡」や「らしさ」が見えてきます。
ビジネスシーンでは、企画段階でいろんな意見がほしいときや、まだ関係性の薄いクライアントとの話し合いで有効な方法といえます。
■深掘りができる「タモリ式」
一方で「タモリ式」は、タモリさんが「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングのコーナーでやっていたようなヒアリング法です。
「バイクの免許とったんだって?」
「何に乗ってるの?」
「最近、どこに行った?」
「バイクに乗っていて怖い思いをしたことある?」
というように、あるひとつの軸でエピソードを深掘りすることで、その人の考え方の中心に近づこうとする手法です。
この手法は「油田堀りインタビュー法」とも呼ばれていて、一点を深く掘ることで、深い位置にある油田を掘り当てる技法からこの名前がつけられています。
タモリさんのヒアリング法の場合、たとえゲストがいろんな番組でトークをしている有名人でも、今まで聞けなかった話が聞けるケースが多く、それが「テレフォンショッキング」の人気の理由でもありました。
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