ビジネスシーンに照らし合わせると、すでに何度も話を聞いている相手から新しい意見や感想を聞き出したい場合などに有効でしょう。
実際には、ヒアリングの目的によって、この「徹子式」と「タモリ式」を組み合わせながら、いろんなエピソードを聞き出していきます。
ポイントは、いま聞いているのが「徹子式」の横軸(広さ)の話なのか、「タモリ式」の縦軸(深さ)の話なのかを意識すること。それだけでも、大事な話の聞き落としや、「こぼれ」がなくなり、書くために必要な「素材」がもれなくそろっていきます。
タイプ別「聞く」テクニック
さらに、ヒアリングをするときは、相手のタイプによっても、質問の仕方を変えるように意識します。
大きく分けて、「普段から話し慣れているタイプ」と「話し慣れていないタイプ」の2タイプについて、ちょっとしたコツをお伝えします。
■普段からよく話し慣れているタイプ
会社の経営者や広報担当者、タレントさんなどはインタビューされる機会も多く、人からよく同じような質問をされています。ビジネスシーンでいえば、B to Bの営業窓口になっている人たちなども同様でしょう。
こういう「話し慣れた」人たちにヒアリングをしていて、相手がすらすらとよどみなく答えるようだったら要注意。それは過去に何十回も答えてきた、ありきたりの質問である可能性があります。当然、回答もすでに多くの人が聞いたことのあるものになりがちです。そうした回答しか引き出せなければ、ありきたりのビジネスプランや企画書しか作れません。
こうした方々の場合には、次のことに注意します。「相手が一度も考えたことがない質問を投げる」→「誰にも話したことがない話をしてもらう」ことを目標にするのです。
講演会の最後の質疑応答の時間をイメージしてみてください。毎回同じ話をする人でも、質疑応答の時間だけはライブなので、今まで聞いたことのない話が聞けますよね。あの感覚です。
新しい話を引き出すためには、できるだけ一般的な質問はせず、個人的な課題や悩み相談をぶつけます。
具体的には、「●●さんは、▲▲するのがいいと主張されていますが、私、それを実践して失敗したことがあるんです。どうすればよかったですか?」といった質問をします。
また専門分野の話をとうとうと語られて理解が追いつかない場合は、「たとえばお孫さんに、先生のお仕事を説明されるとしたら、どのようにお伝えされますか?」などと聞くこともあります。
個人的な悩みや、質問者を特定して質問することで、今まで聞けなかった「とっておきの話」が聞けることがよくあります。
また、こういう方々は、そもそもインタビュー時間が数十分しかとれないこともよくあります。そういう場合は、こちらが事前にどこまでリサーチしたかをあらかじめ伝えてしまうのもひとつの手です。「この話までは知っています。今日はそこから先のお話を(裏話を)聞かせてください」と言うことで、すでに知っている話を聞く時間を省くことができます。
この方法は、アポのとりにくいエグゼクティブとの対面などにも応用できると思います。
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