日本の教育、「皆同じでなければ」への違和感 乙武洋匡がオランダで見た子どもの伸ばし方

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たとえば、ある子の1週間の時間割

子どもたちの学びを「サポートする人」

教師は何をするのか。イエナプランでは、教師が黒板の前に立って(そもそも教室に黒板がない)、大声を発するといった場面を目にすることがない。子どもたちが各自の課題に取り組んでいる間を静かに歩き回り、時に小さな声で言葉をかけたり、子どもたちから個別に寄せられる質問に答えたりする。日本の学校における教師が「教える人」ならば、イエナプラン教育における教師は、子どもたちの学びを「サポートする人」という位置づけであるように感じた。

ここまで読んだ読者の皆さんは、おそらく「自分で時間割をつくって自分で勉強するなんて、小学生に可能なのだろうか」と、彼らの自律性をいぶかしむのではないだろうか。実は、私も同様の疑問を抱いていた。「ところが可能なんです」と石原さんが解説してくださった。

「もちろん、日本の子どもたちにいきなり同じことをやれと言っても難しいと思います。たとえばイエナプランでは、低学年の教室の壁に『外で遊ぶ』とか『本を読む』といった紙を貼っておいて、子どもたちは登校すると、その日に過ごしたい内容のところに自分の名前が書かれたキーホルダーを引っ掛けておくんですね。そうした自己決定の積み重ねによって、学年が上がったときに自分で時間割を組めるような子に育っていくんです」

なるほど、「イエナプランは一日にしてならず」というわけだ。

耳栓代わりとしてヘッドホンを使っている子がいる

それにしても学習に取り組む子どもたちは自由だ。おしゃべりしている子こそいないが、座席から離れて教室の外にある教材を手に取って眺めている子もいれば、なんとヘッドホンをしながら作業をしている子もいる。驚きを隠せない私を見て、石原さんが教えてくださった。

「あの子は雑音が耳に入ってしまうと集中できなくなってしまうタイプなんです。だから、自分の学習に集中するために耳栓代わりとしてヘッドホンを使っているんですよ」

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