フクシマにトルコ、世界でウソが蔓延中だ 3大映画祭を制したファティ・アキン監督に聞く

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「ほんの小さな問題です」は大ウソ

――トルコのゴミ処理場をテーマにした映画に、日本人が共感できるのか?と思いながら見始めました。でも、途中でその考えは変わりました。チャンブルヌの問題が福島第一原発事故の問題と重なっているように思えたのです。これはトルコだけでなく、世界的な問題だと思います。

そのとおり。僕がこの映画を作っている最中に福島の事故が起こった。ドイツでも原発の核汚染ゴミの処理場問題も起きていた。そして、こうした問題すべてのつながりに気づいた。世界中どこに行っても同じウソが蔓延している。「それはたいした問題じゃない。ほんの小さな問題です。解決できます」と言う。でも、それは大ウソなんだ。これはひとつのモデルであって、このモデルは世界中どこに行っても同じだよ。

――現在、イスタンブールでは大規模な反政府運動が起きています。ゲジ公園の緑地再開発反対運動を、警察が武力鎮圧したことがきっかけとなり、これまで政治に興味のなかった人々までが立ち上がり、抗議を始めました。今、イスタンブ-ルで起きていることと、この映画に何かつながりはあると思いますか?

映画に登場するゴミ処理場建設を決定した政治家たちは、ゲジ公園の問題を起こした人間と同じ種類の人々だ。環境問題を引き起こす人々。そこにとても強いつながりがあると思う。ゲジ公園は今回の反政府運動の発端であって、今では言論の自由や民主主義を守れ、という問題に移っている。しかし、すべてはエルドアン首相の行きすぎた経済成長重視政策によって始まった。

第3ボスポラス大橋建設計画、黒海地域を結ぶ高速道路の建設計画、黒海の町シノップの原発誘致、そして、ついには世界でいちばん大きな空港まで建設しようとしている。建てて、建てて、成長して、成長して……それが環境にツケを払わせる。それがこの映画で描かれていることなのだ。トラブゾンでは、古くから人々がゴミを黒海に捨てていた。ゴミ問題はつねに起きていたんだ。そこで政府は2000人しか住んでいない小さな村にトラブゾンから出るすべてのゴミを捨てることを決めた。そして、100万人がその政党に投票し、2000人だけが反対したのだ。

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