東電、「想定外」「予見不可能」を16連発 原発事故裁判で、責任回避の答弁に終始
福島県や宮城県など5つの県の住民800人が3月11日に起こした福島第一原子力発電所事故に関する原状回復・損害賠償請求訴訟で、被告の国と東京電力が、住民の訴えを退けるべきだとの主張を展開した。
住民は裁判を通じて、原発事故以前の環境に戻すことや、それまでの間に1人当たり1カ月に5万5000円の賠償金を支払うことを国と東電に求めたが、7月16日に福島地裁で開かれた第一回口頭弁論で、国と東電はそれらの訴えを棄却するように主張。両者が真っ正面から激突する構図となっている。
「史上最悪の公害」の責任問う
原告団事務局長を務める馬奈木厳太郎弁護士によれば、「今回の裁判は国や東電の不作為によって引き起こされた史上最悪の公害の責任を問うもの」。損害賠償のみならず、もとの平穏な暮らしや環境の回復を求めているのが特徴だ。
原告による訴状では、最悪の公害を引き起こした原因が国や東電の不作為、重大な過失にあったと述べられている。いわく、「2002年時点で東電は福島県沖の巨大地震を予見していた」「06年に原子力安全・保安院などが主催した『溢水勉強会』で、10メートルの高さの津波によって非常用海水ポンプが機能を喪失し、炉心損傷に至る危険があることや、14メートルの高さの津波により、建屋への浸水に伴い全電源喪失に至る可能性があることを東電が報告した」。
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