ブラピ率いる映画製作会社が注目されるワケ 米映画界で旋風、4年で2度アカデミー作品賞

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彼らが手掛けた最新作の『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』では、アフガニスタン駐留米軍の司令官に任命された男の狂気を通じて、戦争の不条理さや人間の滑稽さを描き出している。プランBが手掛ける作品は、人種差別や貧困、マイノリティの問題にも果敢に切り込んでいくなど、アメリカの暗部を描き出す作品が多い。

ガードナーは「そういう題材を扱うことに躊躇しない」と断言。そして、「あえてこういうアメリカの暗部を取り上げようと思っているわけではない」と付け加えた。

「そうした暗部も含めて、アメリカという国が成り立っているという文化的背景、歴史がある。ひとつの国が成り立つ過程には、語られるべき数々のストーリーがあるわけだし、まだ語られていない物語もたくさんある。そうした物語は未来永劫、これからも語り継がないといけない物語だと思うし、ほかの語られるべき数多くの物語と同じくらい大事なものだと思っている。ただ、われわれアメリカの文化的特徴を挙げるとしたら、少し内省的でないところがある。過去を振り返らないというか、前を見て突き進んでいく姿勢があるというか。それはどうなのかなと感じるときはあるけどね」(ガードナー氏)

Netflixはもっとやれと応援してくれる

プランBでブラット・ピットを支える、デデ・ガードナー共同社長兼プロデューサー(左)と、ジェレミー・クライナープロデューサー (筆者撮影)

現在、作品はNetflixで動画配信されているが、プランBがNetflixと組んだ利点とは何なのだろうか?

その問いに対して、「この作品を作らせてくれたということがいちばんの利点じゃないかしら」と、ガードナー氏は笑って答えるが、「彼らはわれわれがやりたいことを理解してくれたし、この作品の複雑性も受け入れてくれた。これは明確な反戦映画だけど、彼らが製作に介入して、そのメッセージを歪曲することはなかった。この作品の製作をサポートするためには勇敢でなければならないんだけど、Netflixの人たちは本当に勇敢な人たちだと思う」と続けた。

さらにプランBは再びNetflixとタッグを組んで、新作『オクジャ/okja』を完成。6月29日より配信をする。同作は『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』の鬼才ポン・ジュノ監督最新作で、“オクジャ”という巨大な動物を守るために、少女が冒険を繰り広げる壮大な物語となる。また、『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』のメガホンをとったデヴィッド・ミショッド監督の次回作もNetflixで企画を進めているという。

「Netflixは、会社の姿勢として作家主義を応援してくれるし、むしろもっとやれと言ってくれる。だから、語るべきストーリーがあるアーティストにとっては、非常に心強い相手だ」とクライナー氏が語るように、Netflixは作り手に自由を与えてくれる存在のようだ。Netflixという力強い味方を経て、プランBは映画界にさらなる旋風を巻き起こそうとしている。同社の動きにますます目が離せなくなるのは間違いない。

(文中一部敬称略)

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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