クライナー氏は開口一番、「僕らが作る作品の中には、アカデミー賞の会員にウケるような作品もあれば、そうでもない作品もあるわけで、これといった秘訣はない」とかわす。しかし、「ひとつだけ言うならば、どうしても語りたい物語があるならば、その物語の力を信じて作り続けるということ。それが時として、人に受けることもあるし、そうでないときもあるというだけの話だと思う」と答える。
ガードナー氏も「賞を取れるかどうかなんて、毛頭頭にはない。もちろん賞をもらえるのはうれしいし、光栄なことだけど、企画を選定するときに必要なのは、まずストーリー。そして監督だから」と、賞は後からついてきただけと話す。
では、プランBが選ぶ作品テーマの大きな方針があるのか? クライナー氏によると、ピットの題材選びの基準は「頭にこびりつくテーマがあるならば、それは追うべきだ。好奇心を呼び覚まし、そして自分の心に響くものがあるならば、そこにはおそらく生命力が宿っているはずだし、追いかける価値がある」という。
心に響くものなら追う価値がある
クライナー氏は、週末の興行成績がどうとか、そういうレベルで考えるのではなく、どれだけ作品が長生きするか、時代を超えて愛される作品になるかを考えるべきだと力説する。「特にNetflixの場合は、いつでも作品が流れるわけだから、配信が開始された2カ月後にこの作品を発見する人がいるかもしれない。あるいは半年後、2年後に発見されるかもしれない。だから長期的な視点に立つことが重要だ」(クライナー氏)。
そもそもプランBは、2002年に元パラマウント・ピクチャーズ CEOのブラッド・グレイ、女優のジェニファー・アニストン、そしてブラッド・ピットらが設立した映画製作会社だ。アニストンとピットの離婚などもあり、2006年以降は、ピットが経営する会社として再スタートしている。
ブラッド・ピットはプランBにどのようなかかわり方をしているのか。これまでピット自身がプランBについて語る場面はそれほど多くはなく、いくつかのインタビューが存在する程度だが、米『バラエティ』誌のインタビューの中でピットは「とにかく自分のDVDコレクションに加えたいような映画を作りたいと思っているんだ」と語っている。
そしてガードナー、クライナーという2人のパートナーについても「プランBは、対外的には僕が代表のようになっているけれど、本当に大切なところはこの2人のプロデューサーがやってくれている。会社を立ち上げたときから一緒にやってきた仲間なので、3人のうち、1人でも欠けたらやっていけないね」と全幅の信頼を寄せているようだ。
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