急縮小した保険の銀行窓販は復活できるのか マイナス金利が直撃、外貨建てに切り替え
「15年間やっている中で、かなり低いレベルだ」
5月末に都内で開かれた記者会見の席上、外資系生保・マスミューチュアル生命保険の井本満社長はそう嘆いた。井本社長が「低いレベル」と嘆くのは、銀行や証券会社チャネルを通じて販売されている一時払いの貯蓄性保険商品だ。
業界の推計によると、2014、2015年度と保険の銀行窓口販売の市場は6兆円弱(一時払い、新契約保険料ベース)で推移してきたが、2016年度は4割減の3.5兆円程度に落ち込んだとされている。落ち込みの原因は、日本銀行によるマイナス金利政策と、金融庁によるフィデューシャリー・デューティ推進の流れだ。
マイナス金利で運用難、説明責任も重く
2016年2月に日本銀行がマイナス金利政策の導入し、日本国債の金利が一段と低下。国債を投資対象とする円建て商品の組成が難しくなった。さらに、規制強化によって、販売時に複数商品を比較推奨することや複数回の面談が必要となり、販売手数料体系を改めたことなどが現場の販売体制に影響したとみられている。
井本社長は「生保各社は円建てから外貨建て商品にシフトし、競争が激化している。手数料開示の方法や方針、各金融機関の評価体制などが変わったため、販売体制の整備が必要で、販売にブレーキがかかってスローダウンした」と説明する。
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