SNS投稿を「わざとズラす」、若者の深層心理 卒業式の写真をあえて4月に投稿する人も

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ここまで「投稿のタイミング」「集合のタイミング」と2つのケースを見てきました。いったい、こうした若者たちの行動は何を意味するのでしょうか。

第1に、それは周りとの差別化を図りたいということ。SNSへの投稿にしろ、集合にしろ、タイミングをずらすことが、SNSのいいね!稼ぎにも重要な役目を果たしています。みんなと同じタイミングで同じ行動を取っていては自分の存在が埋もれてしまいます。そこで、あえてタイミングをずらすのです。

もうひとつあるのは、「自分は、そこらのやつとは少し違う」「特別な存在と思われたい」という願望かもしれません。タイミング優先で急いだばかりに何か失敗をおかしたり、適当な状態の自分をさらすよりも、たとえ時間がかかってもいいので周囲の様子を見極めて、そのコミュニティでいいポジションを取ることのほうがいいと考えているのではないでしょうか。

原田の総評:若者たちの「人間関係数」のすさまじさ

近頃の若者たちの「ずらし」行動の解説はいかがでしたでしょうか?

SNSの普及で、一度つながった相手とは関係が切れ難くなったことで(ラインでブロックなどをしないかぎり)、今の若者たちの「人間関係数」は、過去の若者たちに比べると大変増えてきています。

私が「情報7days ニュースキャスター」(土曜22時~)という番組でビートたけしさんとお話しさせていただいた際、「おいらたち団塊世代はベビーブーマーで人数が多かったからさ、目立つのも大変だったし、本当にいろんな変わった人がいたよね」とおっしゃっていましたが、今の若者もなかなかに大変です。

あくまでリアルな人間関係に限られ、離れていたら連絡手段がなかった団塊世代と比べ、今の「SNSネーティブ世代」の若者たちは、SNSでつながっているので過去のリアルな友達とも人間関係が途切れませんし、新たな友達と出会うとどんどん人間関係数が増えていきます。ネット上だけでの知り合いがいる人もいますし、離れていても常時接続なのでコミュニケーションは続きます。

人口ボリュームが最も多かった団塊世代よりも、その半数の人口以下のSNSネーティブ世代のほうが、友達の中で目立つのが大変だし、本当にいろいろ変わった人になろうと思うようになってきているのかもしれないのです。

若者をマーケティング対象とする企業は、こうした若者の「ずらし行動」に着目し、自社商品・サービスのタイミングを「ずらす」ことも考えてみると、新たな発想につながっていくかもしれません。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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