スペイン最高のシェフが「超僻地」を好む理由 世界最先端のビジネスは辺境で創られる
先進的な若者や企業ほど世界の辺境を重視する
ロンドン、パリ、ニューヨーク。これら世界の主要都市がつねに魅力的である理由の1つは、歴史的な街並みを残しつつ、それを大胆にリノベーション(再生)したうえでつねに新しい価値を加えていく力にあります。私は、こうした世界的な大都市のリノベーションによるまちづくりの様子を、仲間とともに取材し、2005年に『まちづくりの新潮流』(彰国社)という本にまとめました。
一方で、歴史的建造物の蓄積の乏しい辺境――いわゆる田舎町のまちづくりも、地域の「創生」や「再生」を実践するときの重要な課題です。そこで今度は、再び仲間と一緒に、世界各地の辺境のまちづくりの実態を調査・研究し、10年前に『地域づくりの新潮流』(同)を上梓しました。
幸い2冊とも好評を得て、今流行の地方創生の教科書として扱われるほどになりました。中国や韓国など海外でも同じように読まれています。ただ前著から10年。バージョンアップが必要だろうということで、今回は2年ほどをかけ、世界の最先端の地域再生の現場を取材してきました。
そこで感じたことは、若くて先進的な起業家ほど辺境に注目しているということと、その動きが地方創生の大きな力になっているということでした。ほんの少し前までは、有能な若者は、金融工学を駆使して大金を稼ぐマネーゲームの世界に向かっていました。しかし世界を見ると、もはや有能な若者の間で、それはトレンドではありません。彼らはいま辺境に向かっています。
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