英総選挙もやはり牛耳る「静かな勢力」の正体 そこに欧州が抱える本質的な問題がある
英国の総選挙は、死者を出したテロ攻撃によってまたも乱された。6月3日に発生したロンドン橋とバラ・マーケット地域での襲撃によって、国家の安全管理はどうなっているのかが総選挙終盤における最も重要な問題となった。
しかし、この襲撃事件は、5月22日に起こったマンチェスターでの爆破以上に有権者に影響を与えることはなかっただろう。それよりも、選挙を左右するのは、野党第1党である労働党に若者の支持が集まるかどうかにかかっている。
予想外の僅差に
英国のテレサ・メイ首相が4月18日、総選挙を行うと発表して世間を驚かせたとき、メイ首相が率いる与党保守党は支持率でリードしていた。保守党が圧倒的勝利を果たすことによって、英国のEU離脱(ブレクジット)におけるメイ首相の発言力をより押し上げると考えられていた。
しかし、それ以来、労働党との支持率の差は縮まっており、いくつかの予想は、メイ首相が過半数を取ることはないという見方をしている。最終的には、あからさまな世界の隔たりを露出することになるだろうこの選挙において、若者がどれくらい投票したかということである。
英国の2大政党は、労働党が労働者階級を基盤に築かれ、保守党が中産階級の支持によって支えられてきたというように、伝統的に階級の境界線に沿って分断されてきた。しかし、現在は、階級よりも年齢がこの2政党を区別している。世論調査のイプソスモリによると、18歳から34歳の間では、労働党が保守党より30%ほど票を多く獲得しているが、55歳以上の間では、同じくらいの差で後塵を拝している。
現代の英国政治における年齢の重要性は、EU離脱の是非をめぐって行われた昨年の国民投票ですでに明らかである。