先行き不透明で変革が求められる昨今、本当に改革力がある大学はどこなのか――。
少子高齢化によって大学の置かれている環境は年々厳しさを増している。今年、18歳になる人の数は約120万人と見られているが、「2018年問題」といわれるように、来年からさらに少子化が進行する。2025年に一度増加するが、減少傾向は続き、十数年後には100万人をも切ることになる。大学の置かれている厳しい状況は今後も続くのだ。
私立大の45%が定員割れに
「大学全入時代」とは、大学の入学定員が受験生の数を上回ることだが、現状はまだそこまでには至っていない。2016年の大学の入学定員はおよそ59.3万人で、大学志願者は約65.1万人だ。ただ上回っているといってもほんのわずかである。「どうしても第一志望に進学したい」「絶対医師になる」と考える受験生の中には、受験に失敗したら妥協せず、浪人を選択する層も一定割合いる。そうなると定員の埋まらない大学が増加する。
その結果、昨年は、私立大学のおよそ45%が定員割れを起こした。すでに大学に入りやすい状況が進んでいるといってよい。また、今年は文部科学省による入学定員の厳格化で、学生募集の厳しい大学にとっては追い風になった。大都市圏の大手大学が入学者を絞ったため、浪人を敬遠する受験生がこれまで定員割れになりがちな大学にも目を向けて、進学したと見られるからだ。
2018年、2019年にも、入学定員がさらに厳格化され、学生募集に苦労している学校にとっては一息つける状態。だが、それ以降は再び、厳しさを増すことになる。一方、国公立大学の定員割れは数校あるものの、いずれも少人数で、合格者の歩留まりの読み違いと推測される程度である。
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