研究力の高さも注目されている。クロマグロの完全養殖、ウナギ味のナマズの開発など、水産研究所の研究成果を、受験生や保護者にわかりやすく伝えたことで、注目度が高まった。卒業生のつんく♂がプロデュースした入学式も大変な話題だ。入試の面でも日本で初めて完全ネット出願に切り替えている。このような多岐に渡る改革が受験生の支持を集め、高校の進路指導教諭にも高く評価されたと見られる。
2位は立命館大学。他大学に先んじて改革をスタートさせた “大学改革のフロントランナー”だ。学部の新設、新キャンパスの設置、付属校の拡充など、学園全体で取り組んできた。近年でも2015年、大阪のJR茨木駅から徒歩5分の地に、新しく大阪いばらきキャンパスを開設した。経営学部と政策科学部を移転させ、2016年には総合心理学部を新設し人気を集めた。来年には滋賀のびわこ・くさつキャンパスに、食マネジメント学部の新設を申請中だ。認可されれば、立命館大にとって15番目の学部となる。
東大が推薦入試を実施するという驚愕
3位は東京大学、4位は京都大学で、東西の最難関国立大が入った。この両大学の評価は、やはり昨年から始まった新入試制度の影響がある。東京大学が後期試験を廃止して推薦入試を導入、京都大学は推薦入試と学力型AO入試をあわせた特色入試を実施した。予備校の入試担当者は「募集人員は大した数ではないが、東京大学が推薦入試を実施するというのは、進路指導教諭の先生方には信じられないという思いが強い。その衝撃が高い評価につながったのではないか」と語る。
11位の大阪大学も、今年から後期試験を廃止し、AO・推薦の世界適塾入試を実施した。この影響もあって、3年前の19位から11位に順位を上げている。やはり、今までにない新たな入試は難関国立大では大きな改革として、受け止められている。
5位は東洋大学だ。学部・学科の新設・改組を積極的に推し進め、新キャンパスの設置、付属高の拡充などを不断に行ってきている。近年の改革を見ても、2013年に群馬の板倉キャンパスに食環境科学部を設置。今年は国際地域学部を改組し、国際学部と国際観光学部の2つの学部を新設。さらに、今年からオープンした赤羽台キャンパスには、情報連携学部を設置した。一度に3学部を新設するのは珍しい例で、この影響もあり、今年の志願者は初めて10万人超えを達成した。
改革力で上位の大学には、今年の志願者ランキングの上位校が多いのも特徴だ。6位の明治大学は志願者ランキングで4位、8位の早稲田大学は同3位、12位の法政大学は同2位だった。13位の千葉大学は国公立大の志願者数ランキングでトップとなっている。改革力が高い大学と志願者数の多い大学は、ある程度相関関係があることが読み取れる。
大学の改革はどうしても、学部・学科の新設、入試方式の多様化などに目を奪われがちだ。しかし、改革はそれだけにとどまらない。大手の大学では、全学共通の教養科目の設置、英語の少人数教育の実施など、教育面の改革も行っている。文科省も2020年の大学入試改革を、大学入試だけでなく高校教育、大学教育をあわせた、三位一体の改革と位置付けている。これからは教育改革も今まで以上に進み、改革力として評価されていくと見られる。
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