6月5日に総合人材サービスのインテリジェンスが「転職人気企業ランキング2017」を発表した。そこで、「学生就職人気ランキング」(文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が4月17日に発表した「就職ブランドランキング調査」)と比較しながら、就職のための優良企業について検証してみたい。
就職人気ランキング上位10社と、転職人気ランキング上位10社の両方にランクインしているのは、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の2社のみ。就職ランキングの上位10社中、6社が金融だが、実は転職ランキングの上位10社には金融が1社もない。
また、転職ランキング上位10社で目立つのはメーカーであり、1位のトヨタ自動車をはじめ、4社が顔を出している。就職ランキングでは明治グループの1社のみ。また、転職ランキングに外資系企業が2社ランクインしているのに対して、就職ランキングには1社もない。
この傾向は上位100社を見ても同様であり、就職人気ランキング内に金融は21社だが、転職ランキングでは4社のみだ(52位:野村證券、62位:東京海上日動火災保険、78位:ゴールドマン・サックス、91位:日本生命保険)。
就職ランキング100位以内にも外資系はゼロだが、転職ランキングには11社入っている。
なぜ転職ではメーカーや外資に人気が集まるか
つまり、ビジネス社会で活動中のビジネスパーソンは、転職の際にはメーカーや外資系企業を評価している。学生も新卒の就職では金融業界に目が行きがちだが、もっとメーカーや外資系に注目してはいかがだろうか。
転職人気ランキング1位のトヨタ自動車は、2017年3月期の売上高が27兆5971億円、営業利益1兆9943億円で、売上高、営業利益とも日本最大。自動車販売台数は世界トップクラスだ。ハイブリッド車や燃料電池車を開発、実用化するなど、世界最先端の技術を有する。
また、働き方改革にも力を入れており、2016年8月にほぼすべての総合職に対して在宅勤務を導入、大きな話題となった。ビジネスパーソンからはこうしたことが評価されているが、学生からの人気はそれほど高くなく、57位に甘んじている。トヨタ自動車の就職人気ランキング57位という順位は、学生の企業研究不足を象徴しているのかもしれない。
大企業ばかりでない。中堅企業で特筆すべきは、未来工業が転職ランキング28位に入ったこと。同社は岐阜県に本社のある電気設備資材メーカーで、上場してはいるが、名古屋証券取引所2部とかなり地味な企業だ。社員のやる気を引き出す企業風土や、残業禁止や営業ノルマなしといった経営姿勢が目を引いている。
アンケートに答えたビジネスパーソンからは、「成果が評価される仕組みがしっかりしている」「利益を社員に還元している」「働きやすい環境を整えている」といった、働き方へのコメントが寄せられている。もっとも、学生は同社のような優良だが目立たない企業の存在を知らないので、就職ランキング上位にはランクインしないのだ。
就職ランキングは、企業をよく知らない学生の間の”人気投票”にすぎず、企業の実力や働きやすさを表しているとは限らない。一方、転職ランキングは、ビジネスパーソンが働きたいと思う企業のランキングだ。技術力や業績だけでなく、年収や福利厚生も含んだ優良企業ランキングと言える。これから就活を始める大学3年生は、次ページからの転職ランキングも参考にしていただきたい。
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