事業拡大で勢いを増す会社の多くが、従業員数を拡大しているケースは多い。いくらおカネがあっても、技術があっても、事業を動かす人がいなければ企業は回らないからだ。
東洋経済オンラインは、過去5年で正社員を大きく増やした上場企業を独自に調査。トップ500社をランキングした。昨年も同種のランキングを掲載したが、最新版となる。
定年退職による自然減のほか、転職で会社を去る人に、新卒・中途採用の数が勝れば正社員の総数は増える。またM&Aにより企業を買収すれば従業員もついてくる。その過程で多少の人員整理はあるかもしれないが、一定数以上はグループ企業の正社員として受け入れることになる。
ランキングは有価証券報告書(2015年12月期~2016年11月期)に記載されている「従業員数」を正社員数と見なし、2010年12月期~2011年11月期の人数を比較して増加数の多い順に並べた。従業員数は連結ベースと単独ベースの数字が開示されているが、今回は連結ベースの人数で比較を行った。単体ベースの数字で比較すると、この5年間にホールディングス化を行うなどのテクニカルな影響が大きくなってしまうためだ。5年前比の正社員増加率や非正社員数も併載した。
1000人以上の増加は375社
この5年間にM&Aを行って連結対象を増やした会社ほど、大きな伸びがあった。ランキング1位のイオンは、同業のダイエーやマルエツのM&Aで連結対象を増やしたことによって正社員数が増えた企業の筆頭といえる。グループの正社員数は5年間で6万0593人増加した。この期間の売上高は4兆5617億円から8兆1767億円に3兆6150億円増加している。売上高の増加率は伸び率に直すと80%弱の増加となり、正社員数の伸び率とほぼ同程度となっている。
2位は住友電気工業。大阪に本社を置く企業で、関西の財界を代表する企業だ。セグメント情報を参考にすると、ワイヤハーネスなどの自動車関連事業が主力事業となっていることがわかる。売上高2兆9330億円のうち、自動車関連事業の売上は1兆5419億円と半数以上を占め、セグメント別利益でみると1433億円のうち、886億円を占める。正社員の配属も例外ではなく、全社員のうち、自動車関連事業に従事する人数が7割強を占めている。自動車関連事業にかかわる正社員数の増減率でみると、この5年間で4万9579人増(37.3%)になる。これは全体の増減率31.8%より高い。
セグメント別の従業員数は、有価証券報告書の従業員の注記に記載されている場合が多い。このランキングでは詳細な事業ごとの人数の増減までは踏み込んでいないが、就職活動を行う学生にとっては、会社がどの分野に社員を配置し、どの事業の人数を増やしているかを知るための参考になるだろう。
このほか、上位10社の従業員数の増加率に着目すると、4位のソフトバンクグループの191.7%増、8位のファーストリテイリングの198.7%増が際立って高い。両社は雇用の担い手としても大きな存在感を発揮していることが読み取れる。正社員を1000人以上増やしたのは合わせて375社だった。
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