5月も半ば。この春から正社員として企業に雇われた新入社員の多くが、各職場へ配属されているタイミングだ。業績拡大中の成長企業では一気に社員数が増えたケースもあるだろう。
東洋経済オンラインは上場企業で働く正社員数の実態を調べた。上場企業の2015年12月期~2016年11月期の有価証券報告書に記載されている従業員数を正社員数とみなして、まずは単純に正社員数の多い上位500社をランキングにした。昨年も同じ内容のランキングを公表したが、データを更新した最新版となる。
5年前との増減数、有報に「臨時従業員」として規定されている非正社員数と、それらから割り出した非正社員比率なども併載した。有報の臨時従業員数は、その数が全従業員数の1割以上を占める場合、年間の平均人員を開示することが原則として義務付けられている。
製造業や物流系が上位を占める
1位はトヨタ自動車。売上高や時価総額で日本一の大企業だが、正社員の雇用者数でも1位となった。2016年3月期は34万8877人となり、34万4109人だった2015年3月期より4768人増加した。堅調な業績を受けて、緩やかに正社員を増やしている。
一方、2位の日立製作所は、昨年の33万6670人から33万5244人に1426人減少させた。5年前の2011年度に日立製作所は36万1745人の従業員を抱えていたが、子会社を連結対象から外すなどの事業の見直しを行い、正社員数は減少傾向にある。
3位は日本郵政。2015年の11月に上場したため、初めて調査対象になった。全国の郵便・物流と郵便局の窓口業務を維持するために多くの人手を必要とする。25万人あまりの正社員のうち、郵便・物流事業に関わるのが9万5827人、金融窓口事業は10万2240人だった。郵便・物流事業は9万人超の正社員とともに、非正社員も11万4249人が従事して、物流網を維持している。日本郵政は上位10社の中では最も非正社員数が大きくなった。
正社員数の多さは企業によって大きな違いがあり、ランキング上位には売上規模の大きなグローバル企業が目立つ。典型は製造業だが、全世界で現地生産を進めているため、正社員数の多くが国内で雇用されているとは限らない点には注意が必要だ。
近年、社会を取り巻く様々な問題は、行政だけでは解決できない課題も多い。国境や地域に縛られる行政に変わって、国境をまたいでたくさんの従業員を雇用する企業の影響力と役割が増している。ランキングの上位20社では雇用が10万人を超えた。この人数は小さな市や町、村の人口を超える人数だ。政府によって「働き方改革」が進められているが、各社の働き方が見直されると、その家族を含めて非常に大きなインパクトがあるだろう。
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