12月13日に配信した「最新!これが『金持ち企業』トップ500社だ」には多方面から反響が寄せられた。企業の財務健全性を示す指標として、ネットキャッシュ(現預金+短期保有有価証券-有利子負債-前受金)が多い会社のランキングだったが、今度はその逆。手元資金に対して借り入れが大きい=ネットキャッシュのマイナスが大きい会社の上位500社を紹介しよう。
各社の財務諸表に記された各項目からネットキャッシュを割り出した。昨年同時期にも同じ内容のランキングを公表したが、その最新版となる。昨年ランキングとの違いは直近四半期決算ではなく、各企業の直近本決算をベースとしているところから、金額や順位の変動がある点にはご注意いただきたい。
自動車金融(ローン)事業を持っているため、ネットキャッシュを計算すると見た目のマイナスが大きく膨らみ、実態を正確に示せないトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車などの完成車メーカーについては、昨年に続いて今回もランキング対象外とした。
ソフトバンクのネットキャッシュはマイナス9.3兆円
1位は、ソフトバンクグループだ。一時は借金ゼロを目指したが、2013年に米国の携帯会社スプリントを1.8兆円で買収するなど、攻めの姿勢に転じ、積みあがった有利子負債は11.9兆円。現預金が2.5兆円あるもののネットキャッシュで見ると9.3兆円のマイナスだ。
そのほか上位には総合商社やインフラ系、不動産、素材メーカーなどいわゆる重厚長大な産業の姿が目立つ。ネットキャッシュのマイナスが1兆円以上は30社、同1000億円以上は164社で500位はマイナス125億円だった。
一方、ネットキャッシュのマイナスが大きいと財務の安全性が高くないといえるかもしれないが、企業買収や設備投資など積極的な事業の拡大には投資が欠かせないことも見て取れる。今年は日本で初めてとなる「マイナス金利」が導入された。歴史的な低金利が続く状況下で、借り入れをうまく活用するのも企業の財務戦略としては選択肢の一つだ。「無借金」だったり借り入れの額が少ないからといって、手放しで褒めていいのかというと経営の場合はそれも正解でもない。