「メキシコに工場を造るなんてありえない!」
今年1月、大統領就任前のトランプ氏が名指しでトヨタ自動車を批判したことから、メキシコに注目が集まっている。安価な労働力で生産し、近くの消費国で売りさばく。メキシコはアメリカ向け自動車生産の一大拠点となりつつある。
一方で、グローバル化した日本企業のサプライチェーン(原材料から製品の調達・供給網)は、世界各地に広がり続けており、メキシコはごく一例にすぎない。それ以上に日本企業の進出が進む国々を紹介しよう。
東洋経済新報社が毎年4月に刊行している『海外進出企業総覧 国別編』から「この5年で日本企業が現地法人を増やしている国のランキング」を作成した。同書の最新2017年版は、上場・未上場6572社にアンケート調査を実施、日本企業の出資比率が合計10%以上の現地法人について進出国別にまとめた。調査時点は2016年10月で、5年前の2011年10月時点調査とで現地法人数を比較して増加率を算出、多い順にランキングした。
ミャンマーは10倍近い勢いで増加
この5年で日本企業の増加率が最も高かった国はミャンマーだ。2011年時点の現地法人数はわずか11社だったのが、2016年時点には105社となり、増加率は855%。10倍近い勢いで増えた。2011年に民政移管が行われ、経済改革も急速に進められている。ミャンマーは「アジア最後のフロンティア」として、熱い視線が注がれている。
すでに日本企業の大きな集積地となっているタイ(バンコク)と、新興しつつあるミャンマー(ヤンゴン)、カンボジア(プノンペン)、ベトナム(ホーチミン)を高速道路や橋で結ぶプロジェクトが進められている。南部経済回廊と呼ばれ、ASEAN4カ国が1本の道路で繋がる。2015年末にはアセアン経済共同体(AEC)も発足した。
こうした連携の動きが同国への進出を増やす要因となっている。また、賃金上昇がみられる中国と比較して人件費が低廉なため、自動車の製造・販売を行うスズキ、紙おむつや生理用品を製造するユニ・チャーム、殺虫剤を製造するフマキラーなど日本企業の生産拠点が増えている。
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