TASAKI、ファンドに翻弄された「10年」の決着 いったいファンドはいくら儲かったのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ジュエリータワーTASAKI銀座店など、虎の子の資産の売却を進める一方、多額の在庫評価損計上を余儀なくされ、2008年10月期の最終赤字が162億円に膨らむ。結果、2007年10月期末時点で337億円あった純資産が、ほぼ半減することが確実になった。

このとき、優先株を引き受ける形でニューマネーを提供したのがMBKだったのだが、その優先株の発行条件が、MBKにとって破格の好条件だった。

まず、優先株1株で普通株4株を取得できる請求権が付いており、発行日の2008年10月23日のTASAKI株式の終値102円で換算すると、その価値は総額142億8000万円。ところが優先株の発行価格は総額70億円。半値以下である。

70億円の投資で292億円を回収

さらに、この優先株自体に合計49.5%の議決権も付いており、MBKは140億円強の価値の有価証券を半値で取得できたうえに、5割弱の議決権も得た。

当時のTASAKIにとって、70億円は販管費半年分程度の金額でしかなく、債務超過転落の危機に瀕していたわけでもなかった。これほどの好条件をMBKに与える必要はなかったように思える。

ただ、当時のTASAKIは金融機関からの借り入れが約150億円あり、このうち101億円に財務制限条項が付いていた。多額の赤字計上の結果これに抵触、金融機関とリスケ交渉をしなければならない立場に追い込まれていたことからすると、MBKという「後ろ盾」を得ることを目的とした、やむを得ない選択だったとも考えられる。

ちなみに、前出の田島氏と小川氏はこのときにMBKから送り込まれた役員であり、小川氏はもともとMBKの社員である。

次ページTASAKIも純資産を超えるのれんを計上か
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事