TASAKI、ファンドに翻弄された「10年」の決着 いったいファンドはいくら儲かったのか
5月11日、宝飾品大手TASAKIのTOB(株式公開買付)が終了した。発行済み株式総数の83.47%の応募があり、下限目標の66.67%を上回ったので、TOBは無事成立。TASAKIは7月27日に上場廃止になる。
今回の買収者は大手投資ファンド・カーライルのスピンアウト組が設立したMBKパートナーズ傘下のスターダスト。同社は、MBKが資本金5000円で設立したペーパーカンパニーである。
スターダストは3月24日にTASAKI株への公開買付を発表、TOB価格は2205円だった。直近1カ月平均株価に対するプレミアムは43.93%、1株純資産比3.7倍と、株主にとっての条件はまずまずだ。
出資を要請するからMBO?
スターダストは、買収に必要な318億円のうち200億円を三井住友銀行から借り、残りはMBKからの出資で賄う。公開買付届出書によれば、MBKは最大186億円を出資する予定のため、後日、200億円の借入金のうち、70億円は返済する可能性はある。
TOBの成立後に、TASAKIの代表取締役CEOである田島寿一氏と、取締役兼執行役副社長の小川崇亨氏の2名も後日出資する可能性があるので、MBO(マネジメントバイアウト=経営陣による自社買収)ということになっている。
とはいえ、両氏の出資予定額は2人分合計でも最大で8億円強。買収総額の2.7%、MBKの最大出資予定額の4.6%でしかない。しかも出資は「MBKが出資を要請した場合」に限るという珍しいケース。
会社側は取材に対し、「出資要請がないということは想定していない」としているが、要請がなければ両氏はスターダストへの出資が叶わず、つまりはMBOではなくなる。
MBKによるTASAKI買収は今回が2度目になる。1回目はTASAKIが経営危機に陥った2008年10月。当時、同社は年間売上原価の1.8倍に相当する在庫と、EBITDA(償却前営業利益)の18.9倍に相当する350億円もの有利子負債を抱えていた。
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