一方、学生にとっては、選考が早く進んでいるため、早々に不採用の結果が送られ、志望企業の“弾不足“に困る学生も出始めている。新たな志望企業を慌てて探す学生がここにきて急増。企業の採用担当者が、ゴールデンウイーク明けに募集の案内メールを就活生向けに送っているが、そのレスポンスがよくなっているという。
そうはいっても引き続き学生に有利な売り手市場の状況は変わらない。昨年は6月1日時点で半数が内定を得ていたが、今年はさらに多くの学生がその時点で内定を得ることは間違いない。
地方の有力企業が先行して内定出し
もうひとつ、特徴的な動きがある。地方での内定出しが早まっているというのだ。「東京に本社がある大手企業が地方で積極的な採用を行っているため、焦りを感じた地元の有力企業が先行して内定を出している」と平野氏は地方の学生を早めに囲い込む動きがあると語る。
実は地方では、学生を取り切れていない状況が都市圏以上に高い。就職みらい研究所の「就職白書2017」によると、採用計画に対して、採用者数が少なかった未充足企業の割合は、全体で48.3%。関東44.6%、関西43.8%と、全体の値より低い一方、北海道は61.2%、中国四国56.7%、九州55.9%という結果になっている。
地方では都市部と比べて就職口が少ないといわれているが、それ以上に地元で就労してくれる学生を探している現状がある。地方の採用については、地元で就職したい学生のニーズをとらえる一方、企業側としてもその地方に根付くコア人材を採用できるメリットもある。
そんな中で今年は、地方学生をターゲットにした採用の取り組みも盛んに行われた。会社説明会のネット配信中継がそのひとつ。東京などで行われる合同企業説明会や会社説明会に参加できない学生のため、ネット環境でどこでも視聴できる会社説明会が多く開催されていた。
マイナビは3月1日の解禁初日の合同企業説明会を「マイナビWEB就職EXPO」と題して、ネット中継による説明会をメインにしたイベントを開催。「地方の学生さんは、都心に足を運ぶのにコストも時間もかかるし、そもそも情報も少ない。そこでスタートダッシュできるようにすることを目的に開催した」(マイナビHRリサーチ部・栗田卓也部長)。
それ以外にも、各就職情報会社や地方の商工会議所が主催するUターンやIターンの就職セミナーが、積極的に開催されている。
ゴールデンウイークまでに3分1が内定を取ったといったが、逆にいえば残り3分の2がまだ内定を得ていない状況ということもいえる。いずれにせよ学生にとっては、この1~2カ月がまさに正念場だ。
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