3番目に多かったのは36人の中国電力。同時に入社した男性184人と合わせて220人全員が社会人4年目の春を迎えた。同社は男女合わせた3年定着率100%企業のうち、入社者数が最も多かった企業だ。
意外!? 建設業で多い女性定着率100%企業
女性新入社員の3年定着率100%企業303社を業種別に見てみると、最も多いのは電気機器の38社、次いで化学32社、以下、卸売業29社、機械、建設、情報・通信業がそれぞれ25社などとなっている。女性新入社員数の多い企業としては、電気機器では村田製作所30人、ブラザー工業22人など、化学ではライオン30人、日立化成20人などが名を連ねている。
ここで意外なことに、建設業で女性新入社員の定着率100%企業が多いということがわかった。建設業界といえば、かつては、多少の誤解も含め「きつい、汚い、危険」といういわゆる3K業種であり、特に女性にとっては最も縁遠い業界というイメージが強かった。
だが昨今では、建設業界で働く女性を主人公にしたマンガの影響もあり、現場で働く土木系女子を称する「ドボジョ」のほか、ゼネコンで働く「ゼネジョ」なる言葉も登場するなど、見方は一変している。国や業界も「5年以内に女性倍増」という目標を掲げ、昨年夏には「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定するなど、女性が働きやすい環境整備に力を入れていることも後押ししているようだ。
女性入社者数の多い企業として、大林組28人、鹿島24人と大手ゼネコンの名前が登場している。2016年3月末時点の大林組の30歳未満の若手社員は男性1220人、女性が195人、鹿島は男性792人、女性181人といずれも女性はまだ少数派だ。
ここで、『CSR企業総覧』から、両社の従業員のデータに関して得られた面白い結果を紹介しよう。大林組の2015年度の平均年齢は、男性が42.2歳、女性が42.7歳。また勤続年数は男性が16.9年、女性が18.5年でいずれも女性が男性を上回っている。鹿島は、平均年齢が男性44.0歳、女性42.2歳だが、勤続年数は男性18.3年、女性18.7年で、女性が男性を若干上回っている。
女性はまだ少数派で、これから増やしていこうという段階だけに、もしかしたら、多少大切に扱われている部分があるかもしれないし、逆に少ないからこそ男性以上に頑張っているのかもしれない。いずれにせよ、勤続年数で男性を上回るということは、それだけ女性社員にとって働きやすい職場であることは間違いなさそうだ。
これら303社には、前回紹介した男女合計での3年定着率100%企業118社のうち、女性の新卒採用がゼロだった16社を除く102社が含まれている。したがって、残る201社は男性が辞めるなかでも、女性は辞めなかった企業ということになる。むろん、全体的な傾向として、男性の採用数のほうが女性の採用数より多いため、確率論的には男性の辞める人数が多いのは当然だという見方はもっともだ。
ただ、そうはいっても、多くの男性社員に混じって1人、2人だけ採用された女性社員が残っている状況を見ると、女性のほうが適応能力は高く、強い意志を持っているのではと仮定しても、あながち間違いではなさそうだ。
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