新iPhone、「7S」じゃなく「8」になりそうなワケ ワイヤレス充電のためにデザインを大幅変更

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アップルはこのほか、iPhone 8のカメラ性能を向上させるため、リアカメラ、フロントカメラ両方の大幅なアップデートを行うと噂されている。昨年、iPhone 7plusで導入されたデュアルレンズ/デュアルセンサーのリアカメラは、今年は通常サイズのiPhone 8にも採用されそうだ。

他にもサプライヤー周辺からはさまざまな噂が出ている。しかし、そのほとんどはアップル独自の革新的機能ではなく、他のスマートフォンメーカーが採用している要素を取り入れる、というもの。スマートフォンも製品としての成熟が進み、搭載するハードウェア機能で独自性を出すことは極めて難しくなっているからだ。

「まったく新しい」は容易ではない

メーカー自身が製品の機能、スタイル、使い勝手など商品全体のスタイルを決めて商品作りをするプロダクトアウト型開発の徹底が近年のアップルの大きな特徴だった。消費者の期待を良い意味で裏切ることが驚きを生み、その驚きがアップルのブランドを生み出してきたわけだ。

しかし、商品ジャンルの成熟が進めば、さらなる驚きをもたらすことはできない。「まったく新しい」はアップル独自の製品を紹介する際の決め台詞だったが、スマートフォンでは「まったく新しい」を実践することは極めて難しい。

たとえば、今年発売された新型iPadは市場ニーズを見すえた上で極めてコンサバティブ(保守的)な仕様かつ安価に仕上げられていた。顧客の声や市場観察の結果だと考えられる。iPhoneシリーズは徹底したプロダクトアウト型商品だったため、同様のマーケット・イン型の手法で買い替え意欲を喚起させることは可能だろう。

先進国市場において、iPhoneはすでに欲しい人の手元に行き渡っており、さらに販売台数を伸ばすためには新興国市場におけるシェア向上か、既存iPhoneユーザーの買い替え促進が不可欠だ。そのためには、市場の声に応えるべく細かな改良したり、他社製品に盛り込まれている機能やアイディアをアップル流に洗練して取り込んでいくしかない。iPhone7におけるSuica機能の搭載は、その典型である。

最大のライバルであるサムスン電子は昨年の最新機種におけるバッテリー事故でブランドイメージを著しく毀損した。にもかかわらず、シェアを大きくは落としていない。サムスンの粘り強さに対抗するために、アップルは最新機種における「失望」だけは避けなければならない。そのためiPhone 8はアップルにとって、きわめて重要なアップデートとなるはずだ。アップル独自のまったく新しいアイデアはなかったとしても、より多くの消費者の声を拾った製品になるだろう。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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