ハッカソンを異業種間で失敗させないコツ 一過性のイベントで終わらせたら勿体ない

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日本の異業種ハッカソンとしては、2013年にEvernoteの日本法人がトヨタIT開発センターやぐるなび、Mashup Awards 運営事務局と協力して行った「Evernote Hackathon」が大きく報道されたのを皮切りに、2013年にはローソンがコンビニ初のハッカソン「HackaLawson」を、2014年には東証やTBS、NHKなどの企業がハッカソンを開催するようになった。

最近では、ハッカソンを取り入れたことのない業種を見つけるほうが困難なほど、大きな広がりを見せている。

しかし残念なことに、取り入れてみたはいいものの、大抵の異業種ハッカソンは「成果が見えない」として、単なる一過性のイベントに終わってしまうのだという。

ハッカソンはイノベーションに対する特効薬ではない。なぜ、異業種ハッカソンが一過性のイベントで終わってしまいやすいのか。日本最大級のハッカソン「Mashup Awards」の事務局長であり、数々のハッカソンの企画運営を行う伴野智樹氏に聞いた。

「まず認識していただきたいのは、1度のハッカソンで成果が出ることはめったにないということです。1度のハッカソンだけに効果を求めるならば、参加者からたまたま良いアイデアが出れば成功、出なければ失敗ということになってしまいます。ハッカソンはイノベーションに対する特効薬ではなく、あくまで『目的』に対する施策の一環ととらえることが大切です」

たとえば、「新規事業開発」や「オープンイノベーション」を目的とする場合は、今後プロジェクトを円滑に進めていくためのフォローアップ体制を整える。「リクルーティング」を目的とする場合は、参加者が入りたくなるような社内環境づくりに努める。「自社ツールの普及」を目的とする場合は、ハッカソンを通じてツールを知ってもらうだけでなく、今後使い続けてもらうためにユーザーコミュニティやフォーラムを整備するなどだ。継続した施策が大切になってくる。

ハッカソンが社内の意識を変えた

伴野氏がハッカソンの成功例として挙げたのは、大阪のテレビ局である毎日放送が主催するハッカソン「Hack On Air」だ。本ハッカソンは、2014年に開始されてから今日に至るまで3年度連続で開催しており、徐々に成果が生まれ始めているという。

まず挙げられるのは、この取り組みを通じて、少しずつ社内のITリテラシーが高まってきたことだ。

毎日放送では、希望する自社社員をハッカソンに参加させている。ハッカソンでは、最新のITテクノロジーに触れたり、参加者のエンジニアやデザイナーと交流したりすることができ、これが社員のITリテラシー向上に大きく貢献している。

実際、ここ数年で社内の雰囲気が変わってきており、クラウドにて動画新サービスの構築を実現するなど社内のIT化も進んできているそうだ。

また、優秀なプロトタイプに対して、ハッカソン終了後もフォローアップを行っているため、実際に番組やイベントで使えるサービスやアプリケーションも誕生した。

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