異業種ハッカソンの場合、エンジニアを集めること自体が困難かもしれないが、エンジニアコミュニティと共催したり、エンジニアに人気が高い人物を審査員に配置したりするなど工夫してでもしっかり集めるべきだ。
特に審査員の選出は非常に大切だ。そもそも、ハッカソンは「短時間でどれくらい面白いものが作れたか」を競うイベントであり、「面白さ」と同じく「実際に動くモノがつくれたか」が重要な審査ポイントになる。
そのため、最終プレゼンテーションのうまさに惑わされず、適切に成果物を評価できるテクノロジーに精通した者を審査メンバーに含める必要がある。適切な審査が行われなかったハッカソンは、総じて参加者の満足度が低いものとなってしまう。
権利もあらかじめ定めておく
続いてハッカソンから生まれた作品の権利はどこに帰属するか、あらかじめ適切に定めておく必要がある。
企業主催のハッカソンでなければ、すべての権利が参加者に帰属する。こちらに関しては、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の教授である小林茂氏がテンプレートをGitHubに公開し、広く使われている。
異業種企業が主催する場合には、基本的には権利が参加者にあることを認めつつ、「必要になった際に開催者と参加者で話し合う機会を設ける」という注釈をつけることが多い。
たとえば、タカラトミーが主催した「おもちゃハッカソン」では、参加費が必要なのにもかかわらず、受賞作品の権利がすべて主催者に帰属するという規約内容だったため、インターネット上で炎上する事態となった。
機会と環境を提供したのは主催者かもしれないが、アイデアを出し、プロトタイプ実装を行うのは参加者だ。その前提を踏まえたうえで適切に取り決めるのが望ましいだろう。
通信環境や電源の確保なども、見落としがちだがとても大切な項目だ。開催規模にもよるが、大人数に耐えられるWi-Fiや電源環境を備えている施設は意外に少ない。電源やWi-Fiなどの開発環境はハッカソンには必要不可欠なものなので、事前に調査を行い、しっかり手配しておく必要がある。
2015年頃まで、多くのIT企業は、スマホゲームやウェブサービスなどの「インターネットで完結するサービス」をつくることで大きく成長してきたが、近年その成長に陰りが見えてきたように感じる。これからは、IT企業と異業種企業が手を組み、既存分野にテクノロジーによるイノベーションを起こす時代だ。
異業種企業がテクノロジーを導入するハードルは高いかもしれないが、ハッカソンというフォーマットを利用すれば、社内を急激に改革することなく、イノベーションが起こる環境をつくりだせるかもしれない。
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