人数で2番目に多いのが塩野義製薬だった。64人の内訳は、大卒が男性36人、女性24人の計60人、短大・専門学校卒が4人で、高卒はいない。
同社では、転勤の多いMR(医薬情報担当者)職では、結婚時に配偶者と同居できない場合に勤務地を希望できる「結婚時勤務地希望制度」を設けている。勤続3年以上が対象だが、特に女性を中心に将来においても不安なく働けるという見通しが立つという点で魅力的だ。また研究員を対象とした国内・海外留学制度は、モチベーションを高める効果が非常に大きい。
有給休暇取得率は業界平均よりも高水準
有給休暇の取得率は2013年度58.3%、2014年度67.4%、2015年度60.1%。前述の中国電力には及ばないが、「CSR企業総覧」2017年版での「医薬品」の平均53.1%と比較するとかなり高い。
同社では、「30歳までにプロの人材になること」を目指すというテーマに沿った人材育成を行っている。1年目はベーシックなビジネススキルを会得すると同時に、コミュニケーション能力や情報収集・分析力の向上を図り、2年目には自分で調べ・考え、企画・計画を立てて仕事を進めるという問題解決力や論理的思考力を高め一人前となる。
そして3年目では、チーム・組織への貢献を果たせるリーダーシップや関係構築力を重視するという内容になっており、最初の3年間でしっかり基礎固めをするような態勢がうかがえる。
新入社員56人の任天堂。たぶん、程度の差はあれ、全員がゲーム好きだと考えて間違いはなかろう。2013年4月の新入社員の内訳は、大卒が55人で、うち男性44人、女性12人、短大・専門学校卒が1人。ゲームやキャラクターの開発が仕事ということもあり、社員の平均年齢は36~37歳と若い会社である。
フレックスタイムの制度はないが、開発状況に応じた、あるいは海外とのやり取りに合わせた時差出勤制度が導入されており、自由度は担保されている。半日単位での有給休暇も取得することができ、直近3年間の有給休暇取得率は76~78%と、「その他製品」の平均48.6%を大きく上回っている。
同社では社員に求める人材像として、人の喜びを自分の喜びに感じる「サービス精神」、変化が激しくても楽しんで新しいことを吸収する「知的好奇心」、過去にこだわらず新しい提案を行う「独創性・柔軟性」など5つのテーマを掲げている。こうしたマインドは、世界中の人々を笑顔にする商品を提供し続けるためには不可欠というわけだ。そのため、新人研修に始まり、各階層での研修や実務を通じた教育の場を設けている。
この3社を含む定着率100%の118社を業種別にみると、化学が15社と最も多く、機械14社、電気機器13社、情報・通信業11社、卸売業10社と続く。その大半が新入社員数30人以下の企業だ。おおよそどの企業も、その規模からすれば大量採用することはできないが、採用した新入社員をしっかり育て、戦力として活躍してもらうという姿勢が見て取れる。
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