このうち、最も新入社員が多かったのが中国電力。男女合わせて220人が全員4年目の春を迎えたことになる。新入社員数で次いで多いのが塩野義製薬の64人で、以下、沢井製薬(63人)、国際石油開発帝石(62人)、安川電機(57人)、任天堂(56人)と続く。ちなみに、昨年調査での定着率100%企業のうち最も新入社員が多かったのはブラザー工業の64人。こうしてみると、220人もの新入社員が3年間1人も辞めなかったというのは、奇跡に近い状況だといえよう。
220人の内訳は、大卒が半数の110人で、うち男性90人、女性20人。短大・専門学校卒が37人、高卒その他が73人となっている。こうしたバックグラウンドの異なる若者を全員包み込んでしまったわけだ。
休みの取りやすい環境が整備
当時の同社の制度などを「CSR企業総覧」でさかのぼってみてみると、フレックスタイム制や育児・介護などの時短制度のほか、半日単位の有給休暇制度も導入されている。有給休暇に関しては、当時も現在も取得率90%前後で推移しており、比較的休みが取りやすい環境にあるのは確かだ。
また、出産や育児の休暇・休業制度、内外の留学制度や社内公募制度も設けられている。新入社員ですぐに利用する(できる)人はそう多くはないだろうが、将来のキャリアアップ等を考える場合にはフル活用できる制度の1つではある。
同社の人材育成について、新入社員研修が2週間から4カ月、その後もOJTと集合研修により、階層に応じた資質・能力を高めると同時に、業務ごとの専門的な知識・技能を、実践的な技能研修も交えて習得していくとしている。ここに自己研鑽(けんさん)が加わる。
何より電力会社といえば、地域経済における中核企業であり、そのトップはほぼ例外なく各地域における経済団体等の要職を兼務しており、政官財界に大きな影響力を持っている。それだけに、電力会社に入社するということは、エリートである証であり、周囲から一目置かれる存在となる。特に地方ではその傾向は強まる。こうした自信と自覚を220人の若者が感じていることが最大の要因ではなかろうか。
ちなみに、電力業界というのは離職率の最も低い業種である。前述の厚生労働省の調査結果でも、大卒者の3年後離職率は8.5%、高卒は6.0%と断トツの低さだ。
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