「管理職が嫌」な人は拒否したほうが幸せか メリットがないと家族に反対される人も

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さらに、自分だけでなく家族の反対も大きいと聞きます。サービス業に勤務しているSさんは、管理職へ昇進するという内示を受けましたが、家族が反対して回答に苦慮している最中でした。これまで、家族の関係で極力転勤をしたくない意向を会社に伝えて、その意向を酌んでもらっていました。ところが、管理職になると転勤させられる……と家族が思い、

「大反対です。管理職になるなら、実家に帰ります」

と言われてしまったようです。本人的には仕事を頑張るうえで管理職になることも選択肢のひとつではないかと迷っていましたが、家族の猛反対で、

「管理職になるしか選択肢がないのなら、転職も考えようと思っています」

と管理職にならないための手段を考えざるをえない状況に追い込まれていました。

このように周囲の反対があったり、管理職になりたくない社員は増えることはあっても減らないように思えます。では、管理職にならない状態で仕事を続けることは得策なのでしょうか?

ポジティブな意識に転換することも

ここに参考にしていただきたいデータがあります。部下をもつ課長相当の管理職に就任して1年以上5年未満の男性正社員を対象として行われた調査です。昇進前に、管理職になりたくなかった人(ネガティブ群)のうち、半数以上が、昇進後にその気持ちがポジティブに変化していることが確認されたというのです。一方、管理職になりたかったものの、昇進後にネガティブに変化した人は1割程度であったとのこと。

では、どうしてポジティブになれたのか? 管理職として任された仕事で

・大きな影響力が発揮できて気持ちよかった
・部下の育成にかかわり、成長する姿に感動した

などの意外なやりがいを見いだし、ネガティブ要因が払拭されてしまったのです。いわゆる、食わず嫌いであったということなのでしょう。

一方でネガティブなままの人はどうか? 「チームで」仕事の成果を出すことに関心が低い人は、ネガティブ派になる傾向があるようです。

筆者が取材したSさんは、管理職になることに否定的で、専門職志向。よく「管理職になるのは損な役割をしなければならないから、嫌だ」と口に出していました。ただ、チームで仕事をすることは大好きで、周囲に対して世話を焼くタイプ。

実際、管理職に登用されたところ、水を得た魚のように活躍。あれだけ管理職を嫌がっていたのに、ポジティブな意識に転換しました。

この背景にはチームで仕事の成果を出すことに関心が高いことがあったのではないでしょうか。仮にSさんがチームで成果を出すことに関心が低ければ、ネガティブなままだったでしょう。

さて、このように管理職になることを嫌がる人も、チームで成果を出すことに関心が高いなどの要素があれば、意外にエンジョイできることもあります。逆にチームで成果を出すことに関心が低ければ、専門性を生かして個人で活躍できる職場環境のほうが向いているかもしれません。さて、あなたはどちらでしょうか。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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