英語が聞き取れない人に共通する5つの弱点 ただ英語を聞いているのは時間の無駄

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(4)単語と単語がつながって音が変化している

「単語と単語がつながる」ということが英語では頻繁に起こります。英語の場合、基本的には単語ごとに切って話すのではなく、一文や、カンマまでの区切りを一気に話して、少しポーズを置く、という話し方です。このとき、なめらかに話すために、単語と単語がつながる部分で「音の変化」がよく起こります。

たとえば、What are you doing here? という文章の場合、「ワット・アー・ユー・ドゥーイング・ヒア?」のように区切って話すのではなく、「ワラユードゥーインヒア?」のようになめらかにつなげて話します。ここで、What areの部分がワラのようになるのが、「音の変化」です。音が変わる場合もあれば、音が省略されて聞こえない場合もあります。

【効果的なトレーニング】

こうした「音の変化のパターンに慣れる」ために効果的なのが、音声だけを聞いて、そのすぐ後を追いかけるシャドーイングです。ただし、いきなりシャドーイングで真似をしようとすると、自分が話すのに一生懸命になってしまい、しっかり音を聞くことができません。そこで、この場合にも、(3)と同じようにリピーティング、オーバーラッピング、シャドーイングの順でトレーニングをしていくことがお勧めです。

スピードについていけない場合は?

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(5)スピードが速すぎて理解が追いつかない

話されるスピードが速いと、自分の頭の中で情報処理が追いつかない、という状態になります。前の文を理解しているうちに、話は次に進んでしまいます。単語力はあるし、音の変化や、英語の音の特徴にも慣れているものの、速く話されると聞き取れない、という人は、これが原因になっている可能性が高いでしょう。特に頭の中で和訳をしてしまうクセがある人は、どうしても理解に時間がかかるので、スピードが速いと追いつけなくなってしまいます。

【効果的なトレーニング】

この場合には、英語を聞くときの情報処理のスピードを上げる必要があります。そのために効果的な方法が2つあります。1つは「意味をイメージしながらの速音読」です。速音読とは、できるだけ早口での音読のことですが、意味を意識しながら速音読ができるようになると、情報処理のスピードは上がっていきます。

ただし、いきなり意味を意識しながらの速音読にチャレンジするのは難しいので、3段階でスピードを変えた音読をお勧めします。順番は「速音読」→「意味を意識しながら、やや早口の中速音読」→「意味をしっかり意識しながら、普通音読」です。

2つ目の方法は、「意味を意識しながらのシャドーイング」です。最初のうちは意味を意識せずに音の特徴だけを真似するシャドーイングで構わないのですが、余裕が出てきたら「意味を意識しながらのシャドーイング」に移りましょう。これができると、そのスピードで情報が処理できる、という状態になっていきます。

私自身、かつて「英語が聞き取れない」ために、仕事で何度も悔しい思いをしてきました。だからこそ、今そういう思いを持っている方には、一刻も早く、効果的なトレーニングを始めていただきたいと思っています。原因を突き止めて効果的なトレーニングをすることで、必ず英語は聞き取れるようになっていきます。自分の体がトレーニングで変わっていくことを実感しながら、英語力をアップしていきましょう!

谷口 恵子 AI活用コーチ・英語学習コーチ

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たにぐち・けいこ / Keiko Taniguchi

2002年東京大学法学部卒業。日本オラクル株式会社(米国Oracle Corporationの日本法人)にてサポート部門エンジニア、IR(投資家対応)を担当。2008年からソニー株式会社にて調達部門の危機管理、取引先企業の経営分析を担当。2013年よりプチ・レトル株式会社 CDO(Chief Dreaming Officer)兼英語学習コーチとして活動中。ストアカ講座、オンラインスクールのschoo、企業研修などを通じて、2017年1月までに累計5700人に教える。ストアカ プラチナ・ティーチャー。『3ヶ月で英語耳を作るシャドーイング』(プチ・レトル)、『AI英語革命』(リチェンジ)など著書多数。

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