できる人ほど服装が野暮ったくなる深いワケ あえてエコバッグを使う経営者もいる

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それから私はネイルをやめ、カンペキな見た目にこだわるのをやめました。ブランドバッグも持たないし、ユニクロを着ていたりします。もともとあまりブランド好きなわけではないので、そこにこだわらずに清潔感のある気に入ったものを身に着けるようにしました。

すると、インタビュー相手が安心するのか、どんどん話してくれるようになったのです。また、今まで遠巻きに自分を見ていて、アイデアを言ってくれることもなかった部下が、たくさんのアイデアを出してくれるようになったのです。

超一流の戦略的・ヌケの技術

『何もしなくても人がついてくるリーダーの習慣』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「自然な自分」でいることは、VIPに限らず、リーダーや、また、より大きな実績をあげようとする方にとって、大きな武器になるのではないかと思っています。

多くの人の力が必要なとき、多くの人の心を動かすとき、威圧感のあるリーダーには、積極的に人がついていきません。人の心がつかめなければ、チームを動かすことはできませんし、際立った実績をあげることも難しいでしょう。そのため、超一流のリーダーは、戦略的にヌケをつくっているようにも思うのです。

たとえば、スターバックスのハワード・シュルツ氏は、服装ではないですが、インタビューにも飾らないコメントをすることがあります。「マクドナルドのコーヒー」についてコメントを求めたときに、「マックのコーヒーはおいしいよね」と平気で話します。でも、むしろそんな彼の人柄が、多くのファンをひきつけているようにも思うのです。話し方はさほどうまくなくても、誠実さが伝わる。そんな方も、見ると思わず応援したくなってしまうのではないでしょうか。

反対に、私は企業の広報の方とやりとりすることも多いのですが、「会社の顔」という意識があるためかばっちりキメすぎている人が多い気がします。でも、1ミリのすきもなく「私はこのブランドの顔です」とキメている人ほど、メディアとの関係はあまりうまくいっていない気がします。「今日はこんな格好ですみません~」とおちゃめな部分が出ている人のほうが、メディアとの関係も良好で「また次もよろしくね」と言われているように思います。

実際、初対面でものすごくかっこよくキメている人に会うと、日頃からさまざまな人に会って緊張しない私でさえ警戒心のようなものを抱きます。そして、お互い自然体でコミュニケーションがとれるようになるまでに、どうしても時間がかかるのです。

カンペキな見た目は実はソンです。

美男美女ほど、どこかにヌケを作ることを意識するといいのではないでしょうか。

谷本 有香 Forbes JAPAN副編集長 兼 WEB編集長

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たにもと ゆか / Yuka Tanimoto

大学卒業後、山一證券に入社、社内の経済キャスターに抜擢される。しかし2年後、 会社が自主廃業となり、フリーランスキャスターの道を選ぶ。十数年にわたって経済キャスターの第一線で活動し、日経CNBCでは初めての女性コメンテーターに抜擢される。世界VIPへのインタビュー含め、これまで3000人を超える取材を行う。Bloomberg TV、日経CNBCなどを経て、現職。

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