この「おもてなし」の精神をサービスマネジメントの観点から考えてみます。顧客に提供しているサービスには「本質サービス」と「表層サービス」があります。本質サービスは1つでも欠けると顧客の不満を引き起こしますが、表層サービスは、あれば満足度を上げる要素になり得えます。
たとえば、焼き肉店に入店し、案内されたテーブルがきれいに掃除されており、水やお手拭きが運ばれ、オーダーした肉が予測時間内に運ばれてくることに対して、大きく感動はしないでしょう。これは本質サービスであり、自分の支払うであろう対価に対して、当然受け取れると期待しているサービスだからです。逆にこれが想定外だと、顧客は不満を覚えます。
感動は支払う対価に対して当然受けられるとは思っていないが、あるにこしたことはない表層サービスを受けたときに起こります。これは店員が顧客の状況に合わせて臨機応変に対応していく必要がある部分も含まれ、スタッフ一人ひとりの焼き肉の知識・スキル・能力・モチベーションに左右されてしまうところもあります。
だからこそ焼き肉において、率先して部位説明、食べ方、焼き方のレクチャーをしてくれる店員は日頃からの精進を怠らず、肉に接している証明であり、顧客は感動を覚えるのです。焼き肉は他の外食からすると、決して安価ではありません。そのことを理解し、顧客の事前の期待感を超えられるサービスを提供できる店員が複数いる店は良い焼き肉店といえます。
自分好みのインフルエンサーを見つける
5つ目のポイントは「評判」です。たとえば食べログのようなグルメサイトで、高い点数に惑わされずに自分好みの評価者であるインフルエンサーをまず見つけ、その人の高評価している焼き肉店の中で、おススメの店を探すのが得策です。
経済学に情報の非対称性という言葉があります。製品やサービスの品質など提供する側と需要側の顧客の間で情報量に差がある状況のことです(参考『ビジネスゲームセオリー』日本評論社)。
焼き肉店で提供される牛肉メニューは品質に関する情報の非対称性が存在する典型的な例になります。顧客は食べてみないと肉質はわかりえませんが、食べてからおいしくなかったので、代金を支払わないということはもちろんできません。つまり、お客側にとっては評判を重視してのお店選びが重要になります。
他の人が過去、その焼き肉店でどのようなメニューを食べて経験をしたかという評判を聞いて食事をするかどうかを決定します。そうすると焼き肉店の取る戦略は、最初は設定粗利を低くしても良い品質のものを提供し、しばらくは損をしてでも評判を確立していきます。そのうち顧客の中で徐々に評判が高まり、評判を確立した時点で、それまでかかったコストを回収するケースがあります。
具体的には、質を下げるか、量を減らすか、価格を上げるかということになります。従って、新しくオープンしたてで、高得点のインターネットサイトの店は、鵜呑みにしないほうがいいでしょう。具体的には情報サイトの食べログ3.4以下でも良店は眠っているということです。
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